第72話 権利義務関係の複式性へ 3

「これはしかし、敵に塩を送るようなことを申上げるようではあるが、ひとつ、私より貴君に提案申上げたい。どうかな?」

「ありがとうございます。喜んでお受けいたしましょう」

「そうか、それでは、ひとつ。貴君はこのところさんざん、複式簿記の原理を用いて権利義務関係や社会性と人間性の相関関係を述べて参られた。その複式性こそが、君をして対立軸からアウフヘーベンへの道を模索するツールとなっておるな」

「それは、認めます」

「それならどうか。今更簿記の検定試験など受験する必要などないだろうが、その代わり、いや、ある意味それ以上の難問を突き付けるようではあるが、ひとつ、帳簿に始まる会計の歴史というか、そういう本を読んでみられてはどうか?」


 少し間をおいて、米河氏は答える。

「そ、それはいいですね。早速、ポイント稼ぎも兼ねて、通販で発注かけます。翌日やそこらには、着くでしょう。合間を見て、どんどん読んでいきますよ」

「そうかな。君は先日、小室直樹さんの本をかなり買いこまれたようにうかがっておるが、ここはひとつ、会計、その基礎となる帳簿の原理の歴史を読まれたらよかろうと思う。貴君のような世界史にいささかでも造詣のある御仁であれば、難なく理解も進もうし、この対談をさらに深める一助ともなりましょう。こんなことを申しておるあたりが、敵に塩を送るを地で行っておるけどな(苦笑)」


・・・・・・・ ・・・・・ ・


 あたりはすっかり明るくなった。


「では、本日もプリキュアでひと暴れしてくれたまえ」

「もちろん、そのつもりです。そのあとからでも、早速調査して発注をかけますよ。来週の日曜あたりまでにはある程度読んで、議論のネタにもできましょう」


 かくして、この日の対談は終わった。

 次回は、7月30日(日)の未明に続行されることとなった。

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