第2話 メスガキ・ザ・ワールド
大型バイクの免許を取った。
正確に言うなら中型をとって、それから大型を取った。
今まで車やバイクには特に強い興味はなかったし、むしろ得意げにマフラーを詰めて走っている連中のことを軽蔑していた。
群れなきゃ何もできねえのか、と――……同じだけ、群れてこられると実際に厄介だという話。
でも、友人から実際に原動機付きのスクーターに乗せられてみて、風を切るそれが、少し楽しくなった。
それから彼らも別に弱さがどうこうとかじゃなくて、一番は皆で楽しいからなんだろうな――なんて、そんなことを思うようになった。
それで、納車の日だ。
大型バイク。イタリア製。有名なメーカーのもので、一目惚れだ。
プロモーションの動画も見た。
ユーザー投稿のものも色々と見た。
一目惚れしてから、そういえば本当に子供の頃は車やバイクを格好いいと思っていたっけな――――なんて思い出して。
世界は忘れていただけで広かったことと、知らないだけで広いことに溢れているんだなと思った。
思っていた。
そうだ。
今は違う。
今溢れているのは、別のものだ。
「ざーこ♡ よわよわ♡ ざーこざーこ♡」
世界にはメスガキが溢れている。
イタリア製のバイクは届いた時点で故障があるとか。
修理のパーツ取り寄せだけで金がかかるとか。
中の方や電気系統が壊れやすいとか。
会社の親切な先輩のアドバイスは、活かせそうにない。
俺のドゥカティは届かず、世界にはメスガキが溢れ出したからだ。
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