ヤングケアラーの僕の家に天邪鬼がやって来た

らんた

~序~

 ヤングケアラーが九鬼家くきけにひょっこり天邪鬼あまのじゃくがやってきた。赤い皮膚ひふで小さな黄色い角が頭のいただきに生えている。かみの色は黒髪くろがみだ。かみの色は僕と一緒。背丈せたけまでほぼ一緒だ。つめは伸びていない。ただとらのパンツなどはいていない。現代的な服を着ていた。「おに」と思い込んでイメージする姿とは異なる。子供用のファストファッションで身をかためていた。自分と似たような服装だ。

 しかもあろうことか学校から帰ったらさらあらっていた。自分の住むアパートで。


「何やってるの?」


九鬼洋一くきよういちは思わず玄関げんかんでランドセルを落とした。


「何って、皿洗さらあらいだよ。君ももう子供らしい事していいよ」


(え? 不審者ふしんしゃ?)


「あ、ぼく君のお父さんに呼ばれてきたの。居住性福祉きょじゅうせいふくしヘルパーって言うんだ。僕の名前は九鬼令一くきれいいちって言うんだ。よろしくね!」


居住性福祉きょじゅうせいふくしヘルパー? しかも同じ姓??)


これが僕と天邪鬼あまのじゃくとの出会いだった。

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