全ては素晴らしくて儚いものだ

水戸 遥

第1話『自由という名の縛り』

何時から勘違いしていたのだろうか。

こういうところに入る度に思い出される。

20歳の手前だったあの秋、独り身が辛すぎて周りを妬んで自分が壊れかけたあの時、そして何もかも失ってしまいそうになってる今。


「ここの規則はね……」「ここはこういう規則で動いています」「これが当館の規則と重要事項です」


そんな言葉を聞いて、自分では何も選べなくて、何も力が出せなくて、毎回紙に名前を書く。


そして入る度に思うんだ。


『自由は素晴らしく、そしてまた自分を縛ってくれる枷なのだ』と……。


自由があるからこそ自我が保てて、規則で縛られている今は自我が崩壊しそう。


いや、もうほぼ崩壊してると言っても過言では無い。

だがそれがどうした。

あの未熟だった時代は終わった、終わらせたんだ。

自分で知識も身に着け足りなければ得ればいい。

自分には動かす力が無くとも、自分には動かそうとする意思がある。

そしてそれを伝える力は持っているんだ。


もう逃げ腰は辞めだ。辞め時なんだ。


今、自分自身を信じなくてどうする。

信じるんだろ?

『自由という名の縛り』を

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