柔然4  広範なる領域  

郁久閭社崘いくきゅうろしゃろん北魏ほくぎ軍の追撃より逃れるためはるばる漠北ばくほくにまでのがれ、そこから高車こうしゃの領域に侵入、深くにまで攻め込み、その部民を吸い上げ、その凶勢をさらに高めた。


北方を流れる弱洛水じゃくらくすいのほとりに拠点を構え、そこではじめて軍法を立てる。千人を軍とし、それを將に統括させた。また百人をとうとして帥に統括させた。一番乗りを果たす勇者には捕虜が下賜され、怖気づいたものは石斧で首をへし折った。その統率は鞭を振るうことが基本であった。いわゆる文書を持ち合わせなかったため將や帥は集められる羊の糞の数でおおよその人数を把握したが、のちに木板に刻んで記録すればええやん! と気付いた。


柔然じゅうぜん勢力圏の西北には匈奴きょうどの残党が勢力を伸ばしていた。その部民を統率していた拔也稽ばつやけいが挙兵し、郁久閭社崘に攻めかかる。郁久閭社崘は迎撃に出、頞根河あんこんがにて大破。その勢力のことごとくが柔然に吸収される。郁久閭社崘はその勢力の強盛ぶりを各方面に向け喧伝するようになった。


柔然は水や草の状況に応じ畜牧生活を送り、西

焉耆えんきから東は朝鮮ちょうせんまで、北は沙漠さばくの向こう、瀚海かんかいにまで至り、南は大磧だいせき川にまで接した。首脳陣を集めての合議は敦煌とんこう張掖ちょうえきの北にて行われた。




社崘遠遁漠北,侵高車,深入其地,遂并諸部,凶勢益振。北徙弱洛水,始立軍法:千人為軍,軍置將一人,百人為幢,幢置帥一人;先登者賜以虜獲,退懦者以石擊首殺之,或臨時捶撻。無文記,將帥以羊屎粗計兵數,後頗知刻木為記。其西北有匈奴餘種,國尤富強,部帥曰拔也稽,舉兵擊社崘,社崘逆戰於頞根河,大破之,後盡為社崘所并。號為強盛。隨水草畜牧,其西則焉耆之地,東則朝鮮之地,北則渡沙漠,窮瀚海,南則臨大磧。其常所會庭則敦煌、張掖之北。


(魏書103-4)





ぼく「魏収ぎしゅう先生が一生懸命拓跋部たくばつぶの先祖の話をなさっておられる……?」


いや、この辺を悪いことと言い出したら高澄こうちょうの先祖もぶっ叩くことになっちゃうんですが、いいんですかね? まあ高澄さんがいいならいいんですが……

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