陳建嵇拔 寵遇者

陳建ちんけん代人だいじんだ。祖父の陳渾ちんこん拓跋珪たくばつけいの末期に右衞將軍うえいしょうぐんとなった。父は陳陽ちんよう尚書しょうしょである。陳建は騎射を得意とし、三郎さんろうに抜擢された。やがて下大夫かたいふ內行長ないぎょうちょうとなった。拓跋燾たくばつとう山胡さんこ白龍はくりゅうを討伐に出たとき、敵を思い切り侮り、わずか数十騎を率い、連日白龍の潜む山に山に駆け込んだ。このため白龍を壯士を十箇所あまりに潜ませ、不意打ちを掛けさせる。拓跋燾は落馬し、いつ殺されてもおかしくない状態となる。陳建はそんな拓跋燾と賊軍との間に割って立ち、大いに叫びながら武器を振るい、賊数人を殺害、自身は十箇所あまりの怪我を負った。拓跋燾はこの壮挙を祝福し、奴隷二十世帯が下賜された。485 年に死亡した。



また、嵇拔けいばつについても語っておく。もともとは胡族集団の紇奚部きつけいぶの長の一族であったが、父の嵆根けいこんの代になり、拓跋珪たくばつけいが皇帝に即位したばかりの北魏ほくぎに帰服。拓跋珪は祝福し、拓跋什翼犍の娘がめあわされた。嵆拔を生んだ後、尚書令しょうしょれいの官位にて死亡した。


嵆拔もまた華陰公主かいんこうしゅ、拓跋珪の娘だろうか、を娶り、子の嵆敬けいけいを生む。拓跋紹たくばつしょうが大逆をなしたとき、華陰公主がなにかしかの大活躍をしたようで、夫の嵆敬が大抜擢、大司馬だいしば大將軍だいしょうぐんとされ、長樂王ちょうらくおうに封じられ、死亡した。子の嵆護けいごが王位を継いだ。嵆根の事績が欠落してしまっているため、簡略ではあるが附伝として載せた次第である。




陳建,代人也。祖渾,太祖末為右衞將軍。父陽,尚書。建以善騎射,擢為三郎。稍遷下大夫、內行長。世祖討山胡白龍,意甚輕之,單將數十騎登山臨嶮,每日如此。白龍乃伏壯士十餘處,出於不意,世祖墮馬,幾至不測。建以身捍賊,大呼奮擊,殺賊數人,身被十餘創。世祖壯之,賜戶二十。太和九年薨。

有嵇拔者,世為紇奚部帥。其父根,皇始初率眾歸魏。太祖嘉之。尚昭成女,生子拔,卒於尚書令。拔尚華陰公主,生子敬。元紹之逆也,主有功,超授敬大司馬、大將軍,封長樂王。薨。子護,襲爵。根事迹遺落,故略附云。


(魏書34-5)




この辺の近衛隊長的な臣下の寵遇がどでかいの、遊牧民族! 感がでかくていいですね。魏収ぎしゅうさん的にはめっちゃ嫌そうですけど。それにしても王にまで封じられてる嵆氏の扱いが雑すぎる。魏収オメーわざとなくしたことにしてねーか。(いつもの信頼)


さ、次巻はいよいよ、みんな大好き! 崔浩さいこう伝です。公平性の一切ないえこひいきマンであるところのワイ、とーぜん全訳で行きます。

あっ言って後悔した、あいつ奏上とかめっちゃ多かったわ……まぁけどあいつのクソっぷりを把握するには、奏上も大切でしょう。うん、がばゆ!

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