第3話 戻れるか?
いよいよ始まるな、覚えている限りでは、
後半戦終盤ゴール前クリアミスで負けるよな。
ここは特にカッコつけるか。
来た!ここだ。大きくクリアしなくていい。
ラインを割ればいい。
【変えるな!思い出せ!】
何だ!この声。聞いたことないぞ。
あっ!ミスった。クリア出来なかった。
もうー、何で同じこと繰り返して、あーあ。
負けてしまった。ほんと泣けてきた。
この後教室で泣いたな。
夢なんだからさー、頼むよ。都合よく見させてくれてもいいのにな。
【準優勝出来たんだから、いいじゃん】
ほら、慰めてくれて、惨めな思い出思い出した、
というよりもまったく同じ過去。
過去?それなら前半戦でコケた時の怪我が膝にあるよな。保健室で手当してもらったっけ。
あっ、やっばりあった。好きな女のコに手当してもらってドキドキしていたなー。なんで前半戦思い出せないんだろう?
謎の声も何だったんだろう!不思議な夢だな。
そろそろ目覚めるころか?
【ただいまー】
【おかえりー、遅刻しなかった?】
【ギリ間に合ったよ】
【ギリギリでしょ、何省略してんの?】
【あっ、そうだね】
リョ!とか言ったら通じないよな。この時は。
スマホないから不便だー。面白い夢だから忘れないように記録しておきたかったのに。
鉛筆とかめんどくさ!
【涼、友達来てるよ】
誰?小学校の友達の名前って何となく覚えているけどさ、とてもじゃないが全員はねー。
【誰?】
【可愛い女のコだねー、涼やるねー】
【とりあえず行ってきます】
【ごめん、名前は、えーと】
【解らなくて当然です。過去に出会っていません。 時間軸調整課のユキです】
【何?時間軸調整課?なんのこと?ユキ?】
【あなたは12才となっています。かなりの年月を戻ってるため私が調整にきました。調整無しで戻ることは困難です】
【意味解らない、とりあえず夢だから何でもいいけど、凄く素敵な女のコで緊張しちゃって】
【まず、説明が必要ですね、今から詳しく話しますが、パニックにならないように空間に移動します。酔いやすいのでご注意を】
【何でもいいよ、空間移動ね、了解!】
とりあえず合わせた。ちょっといい気分。
空間移動ってよく解らないけど、一瞬景色が流れたような気がした。
【こちらの空間でお話します、順に話しますがすぐに理解出来ないと思いますので質疑応答を後ほど設けます】
詳しく聞いた。学校では経験したことないくらい真面目に。だから、質疑応答する以前の問題だった。
夢だから早く目覚めてー、もうこれ以上無理だ。
ユキって女のコの話を理解出来ないと思った。
でももし本当のことなら、俺は正気を保てない。
内容はこうだ。ここは自分が経験してきた過去。
記憶が作り出した世界。元に戻るには過去を変えてはならない。ターニングポイントとなる場所や行動を判断して元の世界に戻るように道筋を決めること。特に出会う人達の影響が大きいので慎重に判断すること。時間軸調整課への連絡は通常出来ないのでターニングポイントの時に向こうから来るということだった。
リアル過ぎるなー、この夢は。そう思ったほうが幸せだった。少しずつ自分でも夢でないかもしれないと思ってきてる。
戻れるのか?元の世界に。
ユキはもし戻れないと判断した場合は、新たな世界で生きていく選択もありとのことだった。
そんなこと絶対に断る!冗談じゃない、ふざけるな!
玲奈に会いたい、なんとしても。
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