病弱の僕はゲームの世界で生まれ変わる〜ずっと病室に閉じ込められている俺が世界で大人気のMMOで負ける気しないんですけど!?〜

@takerouuuu

第1話 病室の少年

203X年、無機質な部屋にアルコールの匂いが漂うこの病室で1人の少年が弱々しく息を吐きながらテレビを見つめる。テレビに映っているの今売れっ子のアイドル。

顔が青白い少年だが、目をきらきらさせながらアイドルに思いを馳せている。


「ライブに行きたいな……」


そう声を漏らす。

誰もいない病室ではやけに響く。

黒崎裕翔17歳、彼は孤児で幼少から病弱で中学の時に病気が悪化し、それからずっと病院で生活している。

既にこの病院で2年か……俺はいつになったらまた外に出られるだろうか。そう考えるとさっきまで輝いていた目は一気に暗くなる。

ガラガラ……扉を開けてこちらを見るのはメガネをかけた精力の無い男性である。


「体調は大丈夫なんかね。」


俺の担当医である石井先生が横に座ってきた。穏やかな声で俺のことを心配してくれる。彼は俺の父親みたいな存在だ。少なくとも俺はそう思っている。


「はい、ちゃんと薬も飲んでますから、全然元気ですよ」


「そうか、なら良かった。」


石井先生は安堵した表情になる。それから彼は後ろから頭サイズのダンボールを取り出した。


「実は朝にこれが届いててね。君宛てらしいんだ。確か白崎さんだったかな。」



白崎か、彼女とは退院する前によく会話してたな、元気活発な子だったな。彼女は重い病気だったのによく一緒に話して笑ってたな。記憶を思い出すと、ふっと彼女との約束を思い出した。


「俺が退院したら外でどこかへ遊びに行こうな。」


「うん、わかった。約束だね!」


そう彼女は嬉しそうに笑っていた。


それ関連のことだろうか……

先生からダンボールを受け取り中身を取り出す。

無骨で真っ黒なヘルメットのような物体が出てくる。

その上に大きな英語でこう書かれていた

FURISUKUと

ここ最近有名になってきたゲーム会社、どうやらその会社は拡張世界とやらの技術は完璧に作り上げたらしい。

そのゲームは大々的に流行り今ではブームらしい。

まぁ、病院にいる俺はそういうのとは一切縁がないと思っていたが、まさか彼女からプレゼントで遊べるとは思いもしなかった。


ブレイキングワールドというゲームソフトがヘルメットの中に装着されていた。早速使ってみるか。

これを被ったら即入れんのか、便利なもんだな、と感心しつつ俺は被った。

目を閉じると、脳内に音声が響く、スタートしますか?

俺は心中で念じる


スタート


目を開けると、広大な世界が広がっていた、緑の丘に土色に塗られた小道、そこを通る馬車、その向かい先にはそびえ立つ真っ白な城壁が水平線が消えるまでずっと続く……

穏やかな風が靡く、


「はっ……」


何故か俺は涙目になってるいる。

理由は分からないが、ただ俺はこのゲームで新しい人生が見つけられそうな気がする。ただそんな気がしたのだ。

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