間話 勇者たち呼び出される

 俺たちは今日は休みとして宿でダラダラしていた。

 ガーシュと言う辺鄙な街で一番の宿ということだが俺たち日本人からすると底辺に近い宿だと思う。


 一応部屋に浴室は付いてるけどよく分からない道具なので毎回賢人に頼んで湯を張ってもらっている。

 食事も……うん、米が食べたい……


 この国では米はあまり流通していないらしく隣の帝国って所では一般的に食べられているらしいので取り寄せを頼んだが無理と言われてしまった。


 俺は勇者なのになんでこんな扱いを受けなければならないのだろうか、助けて欲しいなら助けて欲しいなりの態度というものがあると思うんだ。


「おい、英雄聞いてるか?」

「あぁ、ごめん、ちょっと考え事してたよ」


 一人部屋だけど今は部屋に知也と賢人が来てるんだった、いけないいけない自分の世界に入るのは1人の時にしないとな。


「それでどうするの? 明日またカブトムシ狩りに行く?」

「そうだなぁ……行ってもいいんだけど、いつまで経ってもボスってやつ見つからないし……」


 賢人に尋ねられるが正直やる気が起きない。

 人助けといえば聞こえはいいけどひたすらカブトムシ倒すだけって面白くないんだよな……


「だよなぁ……レベルも十分上がったしもう魔王倒しに行ってもいいんじゃないか?」

「知也、それは早計だと僕は思うけどなぁ……上がったとはいえまだ34、RPGでももう少しレベル上げるものだよ?」

「そうか、賢人がそういうならそうなんだろうな」


 今賢人が話していたが俺たちのレベルは既に30を超えている。

 この世界で聞いた一番レベルが高い人が近衛騎士のゴルドさんでレベル24、もう相手にもならないだろう。


「賢人はどれくらいまでレベルを上げるべきだと思う?」

「そうだね……45くらいまでは上げるべきだと思うよ」

「45か……まぁボス倒して少しレベル上げしたらすぐかな? でももうカブトムシは飽きたよね」


 ステータスオープンと唱えて自分のステータスを表示させる。



 ◇◆


 名前……光乃英雄 レベル37

 職業……勇者

 年齢……17

 生命力……A 魔力……A 筋力……A 素早さ……A 耐久力……A 魔攻……A 魔防……A


 スキル

【神器召喚】【魔法適性(光、雷)】【剣術】【鉄壁】【剛腕剛撃】【限界突破】【ブースト】【魔力撃】【身体強化】【疾風加速】【見切り】【知覚強化】【回復力強化】


 ◇◆


 相当強くなった。

 これなら魔王にも勝てると思うけど……まぁ賢人が言うんだ、それが正しいんだろう。


 次はいつ出撃する? だったり夜伽どうだった? などとくだらない話に花を咲かせていると扉をノックする音が聞こえてきた。誰だろう? 愛子たちかな?


「はい」

「お休み中のところ失礼します。ギルドからの使いで参りました、グレートビートルが発見されたそうです!」


 3人で顔を見合せ立ち上がる。

 ようやくか……


「分かりました、すぐに準備します」


 知也と賢人は自室に戻り準備を、俺は着替えるだけだからすぐに終わる。


 急いで着替えて隣の部屋、女性陣が集まる部屋へ行って準備するように告げて部屋で待っていると30分ほどで全員の準備が整った。


「行きましょう」


 俺たちはギルドの使いとやらに案内されて冒険者ギルドへと急いだ。


「グレートビートルを発見したミスリルランク冒険者自由の翼のみなさんです」


 これがミスリルランク冒険者って人たちか、結構強そうだな……


「みなさんはじめまして、俺が勇者光乃英雄です。こっちが仲間の……」


 俺たちのためにグレートビートルを見つけてくれたんだ、最低限の礼儀として自分と仲間を紹介する。


「ミスリルランク冒険者パーティ自由の翼リーダーの久里井戸玲央です。召喚された初日に少しだけ会ってるけど覚えてるかな?」


 え? 久里井戸? この人一緒に召喚されて追放されたニート?

 ニートがミスリルランクになってるなんてやっぱりこの世界はレベルが低いんだな……


「アルマン教国が聖女サーシャ・ライノスです。よろしくお願いしますね勇者様方、聖女ベラ様」


 ニートの次に自己紹介してくれたのは絶世の美少女だった。

 目が離せない、美しすぎる……


 それに何より……大きい……


 なんでこんな美少女がニートと一緒に居るんだろう?


 完全にどストライクなんだけど……ニートなんかと一緒に居ないで俺たちと一緒に来てくれないかな?

 聖女らしいけど、それならベラと入れ替わりで……



 そんなことを考えているうちに他の人の自己紹介も続いていたが俺はこのサーシャさんから目を離すことが出来なかった。


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