第1話
「なんで?」
ばく大な金額の治りょう費を 出して世界中から有名な医者が 集まってくれた。
なのにたった一人の育て親の姉は 危険な状態になり、目を覚まさない。
最新の手術をしてもらおうと思っても、以前の分でただでさえ少ない貯金 を使い果たし、借金までしてしまった。
幼い頃、私と姉を産んでくれた母はガンで亡くなった。
遺伝性のあるガンで、姉まで。
私から大切な家族はどんどん 離れていく。
ガンに怒りを覚えていると、突然目の前が真っ暗になった。
しばらく時間が経った気がする。
私は十分ほど気絶していたようだ。
周りを見ると、ボタンが三つとモニターが置いてある。
近くにリモコンがあったからモニターの電源を付けた。
すると、見知らぬ男性が表れた。 よく見るとAIだった。 機械的な声で「えらんでください」と
言っている。
「はい?」 私の問いかけは無視し、説明を 続ける。
「1,自分が犠牲になる
2,姉が犠牲になる
3,どちらも助かるが、姉の記憶から自分の存
在はなくなる。
24時間以内に選ばないと殺します。」
私は突然のことに困りながらも
姉を助けられるわずかな希望かもしれ ないと頭のすみでは考えている。 ただ、選択を間違えれば姉は危ない。 それなら、3の記おくが消えるが二人 とも助かるが良いのではないか?でも、 二人での大切な思い出を忘れて欲しくない。
ただ、私は死にたくない。
姉も死なせたくない。
もう、私はどうすれば良いのだろうか。 希望は3だが、記おくが消えてしまうのも いやだ。
でも、もしかしたら記おくが無くなっても 仲良くなれるかもしれない。
そう思った瞬間、男が話し出した。
「記おくが消えても仲良くなれるという 甘い考えをお持ちですか? 住む次元まで変えちゃいますから」
私の心が読めるのかな? 怖い!?
姉だったらどうするだろう。 優しいから、私を選んで1を押す? もしかして、3かな?
まず、2はありえない。 3は両方生きられるが、姉を生きがい にしていた私にとって、とても辛い。
「よし、決めた。1を選ぼう。」
ボタンを押す手がふるえる。 それでも何とか押した。 穴が開き、その中に吸い込まれる。
針でもあるかと思えば、そこには やわらかいクッションやフカフカなベット が用意されていた。
天国に来てしまったのか もう二度と姉とは会えないのだ。
あまり美味しくはないが忙しくても、 作ってくれたカレー。
お金がないのに買ってくれたゲーム。 姉との思い出を回想していると、とても 元気になった姉が嬉しそうな顔で 私に近寄ってくる。
え!?
姉に話を聞いてみる。
すると、このゲームの主催者が私たちの絆に感動してどちらとも助けてくれたことを話してくれた。
「それで、この場所は?」
「お金がない上に借金してるから、 借金の返済と家のプレゼントをしてくれて…」
そんな話、ありえるのかな?
やはり、交換条件が出された。
それは、だいぶ無茶苦茶だった これからはこのゲームの運営で働くというものだった。
大切な人と自分を選ぶゲームなんていやだ。けど、今まで頑張ってくれた 姉を楽にさせられるかもしれない。
そして、運営に入れば、このゲームを やめさせられるかもしれない。
私はその頼みを認めた。
これからどうなるのだろう?
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