第57話 賢者の里のお料理教室

「……という訳で、作り方はこんな感じです」

「凄い……よく、こんな料理をご存知なのですね」

「わ、私の故郷の料理ですので」


 ケンタウロスさんたちを集めてお料理教室を開き、無事好評を得る事が出来た。


「やっぱりソースが美味しいですね」

「タルタルソースって言うんですけど、美味しいですよねー! 揚げ物とかにも合いますよ。あと、このタルタルソースを作る前に、マヨネーズっていうソースを作っているんですけど、こちらも何にでも合うのでオススメです」

「マヨネーズ? あ、さっき頑張って混ぜたアレですか」

「はい。混ざれば何でも良いので、ビンに入れて振る方が楽かもですね」

「なるほど。あの、余った卵白はどうすれば良いですか?」


 私が日本で手作りマヨネーズを作っていた時は、卵黄しか使わない派だったので、余った卵白でお菓子を作っていたんだけど……って、待って! お酢と醤油で夢中になっていたけど、そういえば砂糖もあるって言っていたわよね?

 凄い! 獣人族の村、鬼人族の村に、この賢者の里の特産品を合わせたら、お菓子まで作れちゃう!


「じゃあ余った卵白を使って、お菓子を作るので、手伝ってください」


 まずは卵白をひたすら混ぜて、メレンゲ作り。

 ぶっちゃけ、これが一番大変なんだけど、ケンタウロスの皆さんに協力してもらって……凄っ!

 みんな腕力が凄いのかな?

 思っていたよりも遥かに早く泡立って行くので、途中で止めてもらい、砂糖を入れたらまた混ぜてもらう。

 そんな事を数かい繰り返し……電気の力を使わず、手で泡立て器を使って早くも角が立つ程のメレンゲが出来た。


「物凄く早いですね」

「セシリア様が作ってくださった料理が、本当に美味しかったので、皆で頑張りました。次も期待しておりますね」

「任せてっ! と言いながら、今作っているのは凄くシンプルなの。だから、今かき混ぜてもらったので殆ど完成なのよね」


 しっかり混ざったメレンゲを、具現化魔法で搾り口を作った搾り袋に入れ、同じく具現化魔法で作り出した鉄板へ絞り出していく。


「わぁ……可愛いですね」

「そうなのよー。この一口大の大きさが良いわよねー」


 そう言いながら、サササッとメレンゲを絞っていると、鉄板ではなく私の顔に視線が集まっている。

 あー、これはもしかして……と、キョロキョロと周囲を見渡し、予想が確信に変わる。


「えーっと、やってみる?」

「はいっ! やりたいっ! やりたーいっ!」

「ずるーい! ボクもっ! ボクもーっ!」


 いつの間に来て居たのか、ケンタウロス族の子供が数人熱い視線を送っていたので、順番交代で搾りだしてもらう事にした。


「あれー? お姉ちゃんみたいに上手くいかないよー?」

「ちょっとしたコツがあるんだけど……とりあえず、失敗なんて気にしなくて良いから、どんどんやってみよー! 何度もやっているうちに、出来るようになるからねー!」


 幸い、ケンタウロスの皆さんが気に入ったらしく、沢山マヨネーズを作ったので、メレンゲはいっぱいある。

 なので、子供たち皆で……うん。搾り口とか鉄板とかを、もっと作ろう。

 具現化魔法ですぐに生み出せる事に気付いたので、大人も含めて皆で鉄板にメレンゲを絞り……うん、上出来っ!


「あとは、これをオーブンで焼くんだけど……あ、大きな窯があるんだ。じゃあ、そっちで焼いちゃいましょう!」


 これはあまり高温でなくて良いので、程々の温度でやや長めに焼いて……あ、子供たちとお喋りしている内に焼けたみたい。


「出来たーっ! メレンゲクッキーっていうんだけど、熱いから少し待って……早い早い早い! 火傷するから、もう少し待ってー!」


 暫くして無事に冷めたので、皆で食べるんだけど……サクサクした食感のメレンゲクッキーが、口の中でフワっと解けて美味しい。


「お姉ちゃん、美味しいっ!」

「セシリア様っ! これも凄く美味しいですっ!」


 マヨネーズ作りで余った卵白と砂糖で、美味しいクッキーが出来た。

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