第46話 小麦を使った朝ごはん

 小麦の雪崩に襲われた後、異空間倉庫という所へ大量の小麦が収納されていった。

 一体、どういう仕組みになっているかはわからないけど、物凄く便利そうな気はする。


「あのね。さっきの小麦は、バステトさんとマヘス君をあわせて、十年分以上の食料になるわね」

「なんと! そんな事になるのか! うぅむ……しかし、とはいえ我は、あの種を生地のようには出来んのじゃ」

「とりあえず、明日ウチへ来ます? 教えてあげますよ?」

「よ、良いのか!? ……あ、ありがとう! 助かるのじゃ!」


 とはいえ、もう外が暗いので、今日はそれぞれ就寝して、明日の朝に移動しようという事になったのだけど、


「にゃー!」

「えーっと、マヘス君? お母さんの所へ帰らないの?」

「うにゃー!」


 マヘス君が私から離れてくれない。

 余程クレープが気に入ったのか、物凄く空腹だったから、恩人とでも思われているのだろうか。


「ふむ。マヘスが私以外に懐くなんて……良ければ、そちらの寝床に泊めてもらえぬか? お主をこちらへ招待したいところなのじゃが、あいにくと人間族が入れるような広さではないのじゃ」

「別に構いませんけど……」

「助かるのじゃ。という訳で、宜しく頼むのじゃ」


 バステトさんとマヘス君も一緒に石で作った小屋へ戻り、早速就寝する。

 するんだけど……あー、猫って夜行性だったわね。

 私とヴォーロスが寝ようか……という中で、マヘス君が物凄く元気で走り回る。

 暫くは遊んであげたんだけど、眠さが限界に……いつの間にかヴォーロスの上で寝ていて、その私の上にマヘス君が。マヘス君を見守るようにして、少し離れた所でバステトさんが眠っていた。


「ふふ。マヘスがこんなにも元気に走り回ったのは、いつ以来か。感謝するのじゃ」


 あ、バステトさんはジッとしているだけで起きていたのね。

 だけど、私にそう告げると猫の姿になって、マヘス君に寄り添うように……って私の上で寝るのね。

 ……モフモフなのでオッケー!

 ヴォーロスとマヘス君とバステトさん。モフモフに挟まれながら私も眠り……朝になると、さっそく電車を使って家に帰る。


「な、何と……何なのじゃ!? この動く箱は」

「電車って言って、ヴォーロスの雷魔法で動くのよ」

「電車……か。凄まじいのじゃ……って、なんじゃ!? この場所はっ!? 見た事のない物だらけなのじゃっ!」

「とりあえず、朝ごはんを作るから待っていてね」


 マヘス君も一緒に食べて大丈夫そうなものを……という事で、目玉焼きをトーストの上に乗せ、少し冷ましてから出してあげる。


「にゃー!」

「ん? まだ食べる? ちょっと待ってね」


 同じものを作っても良かったんだけど、せっかくなのでフレンチトーストを砂糖抜きで作り……あ、こっちも気に入ってくれたみたい。


「セシリアー。それは僕も食べたいなー」

「うむ。我も食べたいのだが」

「あ、ヴォーロスに、セマルグルさんまで。待ってね。すぐ作るから」


 いつの間にか来ていたセマルグルさんの分も急いで作り、朝食を終える。

 お腹がいっぱいになったマヘス君は……寝ちゃったー!

 まぁ猫だし、良いのかな?

 一日の大半を寝て過ごすイメージがあるし。


「物凄く美味だったのじゃ。これも、あの小麦から出来ておるのか?」

「他の材料も使っているけど、メインは小麦ね」

「なんと……頼む! 是非、料理というのを教えて欲しいのじゃ」

「うん。構わないわよ。まずは小麦粉作りからね」


 という訳で、バステトさんへのお料理教室が開かれる事になった。

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