第16話 オリーブオイル
「出来たーっ! 何となくでやってみたけど、意外に何とかなるものなのね」
「セシリア。この液体は何なの?」
「これは、オリーブオイルっていう油なの。炒め物とかを作るのに必要なのよ」
ヴォーロスにも手伝ってもらい、土魔法で育てたオリーブの実を沢山摘むと、獣人たちの村で貰った布に包んでひたすら揉んだり絞ったり。
ちゃんとしたオリーブオイルではないのかもしれないけど、とりあえずそれっぽい物が出来た。
これで、フライパンやお鍋が焦げなくなるわね。
「まず、これで夕食に必要な最低限の物が得られたから、次ね」
「今度は何をするの?」
「これよ……針っていうんだけど、獣人の村で布と一緒に糸を貰っていたから、それで布の袋を作るの」
「へぇー、セシリアは器用なんだね」
えーっと、ただの返し縫い……って言っても分からないか。
家電量販店で働いていたから、ミシンなら上手に使いこなせるんだけど、あれの内部構造は……いやでも、コンピュータ制御じゃない、シンプルな物なら具現化魔法で作れるかも。
まぁ、今はそこまで必要じゃないけどね。
それよりも、先にどうしても欲しいものがあったりする。
「セシリア。今度は何をしているの?」
「これは料理の準備じゃないんだけど、前にヴォーロスの雷魔法でクルクル回ったモーターっていうのがあったでしょ? あれをもっと小さく安全にしようと思って」
「そうなんだ。じゃあ、また雷魔法が必要になったら呼んでね」
「うん、そうさせてもらうわね。ありがとう」
暫くはモーターを小さくする事を目指して頑張り……理論は分かっているし、形も金属を思った通りに加工できるんだけど、中々難しい。
やっぱり安全面を考えたら、小型化は諦めた方が良いかな?
なので、大きさは前に作った、小学校の授業で作ったようなサイズの手作りモーターそのままで、安全面を考えて電気を通さない物で……って、何だろう。
ゴム手袋は電気を通さないって習った気もするけど、流石にゴムの作り方なんて知らないし、石や金属じゃないから具現化魔法で作り出す事も出来ない。
石……は電気を通すのかな? 通さないよね?
石なら具現化魔法で出せるから……あ、あれだ! セラミックス?
いろいろ試行錯誤している内に、
「それっぽいのが出来たーっ!」
「セシリア、お疲れ様」
「ヴォーロスも手伝ってくれて、ありがとうね。本当に助かったわ」
ようやくモーターっぽい物が作れた。
ふっふっふ……ここまで来たら、あと少しね。
これで、冷蔵庫の次に欲しい物……ドライヤーが作れるかもっ!
いつも川で身体を洗った後、髪の毛を乾かすのが本当に大変だったのよね。
火魔法と風魔法が使えたら、温風とかが出せたかもしれないんだけど、オーブンもどきは作れているし、モーターっぽい物も出来たから、後は組み合わせるだけねっ!
そんな事を考えていると、
「戻ったぞ。セシリア、これで良いか?」
「おかえりなさい……って、大きいっ! な、何これっ!?」
「何……って、セシリアが我に依頼したイカではないか。まぁクラーケンとも呼ばれるが、身体全てを持ち帰るのは骨が折れるので、とりあえず足の一つを持ち帰ったのだが、構わないか?」
セマルグルさんが、物凄く大きなイカの足を持って帰って来た。
これ一つで冷凍庫が余裕で溢れるんだけど。
とはいえ、セマルグルさんが戻って来たので、夕食作りに取り掛かりますか。
メインで使う食材は、小麦粉とキャベツ。
本当は豚肉が良かったけど、手に入りそうにないのでイカで。
オリーブオイルが手に入って、鉄板で焼く料理が作れるようになったので、早速作ってみようっと。
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