第15話 念願の冷蔵庫
「セシリア。チーズが乗ったピザは、誠に旨かったぞ」
「でしょ? ピザはチーズが欠かせないのよ。で、それとは別にトッピングとして、野菜とか海産物とか、お肉とかっていうのがあってね……」
別にピザが大好きな訳ではないんだけど、セマルグルさんが大喜びしていたので、つい日本のピザの事を色々と話していると、
「ふむ。セシリアは他にも旨い料理を知っているのか?」
「えぇ、もちろん! まぁ材料は必要だけどね」
「なるほど。次はどのような料理を作るのだ?」
「そうね……って、待って。それより残ったチーズや貰った牛乳をしまわないと。せっかくもらったチーズが食べられなくなっちゃう」
先ずは具現化魔法で、冷蔵庫風の蓋付きの箱を作り出し……ふと思う所があって、三段の箱にしてみた。
「セマルグルさんは、氷魔法が使えるのよね?」
「うむ。氷魔法だけでなく、光……こほん。何でもない。して、氷魔法で何をして欲しいのだ?」
「この箱の上段の中を、水が凍らないくらいの冷たさにして欲しいんだけど、出来る?」
「ふっ、造作もない事だ」
そう言って、セマルグルさんが氷魔法を使ってくれた。
冷蔵庫風の箱の上段を開けてみると……うん。良い感じに冷えてる!
先ずは牛乳を上段に入れ、
「じゃあ、真ん中の箱の中を水が凍るくらいに冷たくしてくれる?」
「良いだろう」
同じ様に冷凍庫にしてもらった。
……若干、冷たすぎる気もするけど、急速冷凍だと思えば良いかな?
「じゃあ、最後に一番下なんだけど、最初の箱より少しだけ冷たくないようにして欲しいの」
「ほう。何やら指定が細かいが……こんな感じか?」
「……うん。これくらいで良いと思うわ。ありがとう!」
という訳で、最後に野菜室も作ってもらい、残ったチーズは具現化魔法で作った容器へ入れて、そっちへ。
やったー! 冷蔵庫が出来ちゃったー!
「あ、セマルグルさん。さっきの氷魔法ってどれくらいの期間、有効なの?」
「逆に、どれくらいの期間を有効にしておけば良いのだ? あれしきの魔法ならば、放っておけば永遠にあの冷気を保つのだが」
「凄い! じゃあ、セマルグルさんに迷惑が掛からないのであれば、そのままでお願いします!」
ひゃー! ヴォーロスから氷魔法が使える方を連れて来るとは聞いていたけど、まさか電気も不要で半永久的に有効な冷蔵庫になるとは思わなかった。
これなら、クーラーも不要な感じがするわね。
とりあえず、氷関係の事はセマルグルさんにお願いするとして、次にここでの生活を改善するには……そうだ! 無くてはならない物があった。
「じゃあ、セマルグルさんに氷魔法のお礼をする為、夕食は頑張るね! という訳で、ちょっと必要な材料を作って来るねー!」
「それは楽しみだな。何か手伝う事は無いのか?」
「そうね……またお願いしてしまって申し訳ないんだけど、この辺りでタコとかイカ……もしくは貝とかがあれば、作ろうと思っている物が美味しくなるかな」
「ほほぅ。タコやイカか……海に棲むものはあまり食べた事が無いな」
「あ、毒とかがあるなら止めておこうか」
「いや、毒があるから食べた事が無い訳ではなく、単に食事の為にわざわざ海まで行った事がなかっただけだ。だが、セシリアの作る料理はとにかく旨い。海で、それらの食材を獲って来れば、また旨いものが食べられるというのであれば、行く価値があるというものだ」
そう言って、あっという間にセマルグルさんが飛び立って行ってしまった。
「セマルグルは、そこまで食べ物にこだわるタイプじゃなかったんだけど……よっぽどセシリアの料理が気に入ったみたいだね。まぁ実際、ピザは美味しかったしね」
「じゃあ、夕食も頑張らないとね。えっと、ヴォーロスも少しだけ手伝ってくれる?」
「大丈夫だよ。僕もセシリアの作ってくれた料理は好きだしね」
という訳で、家の近くに新たな植物の畑を作り、ヴォーロスに収穫を手伝ってもらう事にした。
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