第74話 帝王六騎衆
時系列は戻り8月半ば。
この日、帝王軍と初接触する事になる。
――帝王軍、
それは今魔界に存在する巨大な四大勢力の一角。
帝王カオスが作り上げた組織で、魔界の1/3近くの領土を手中にしている大勢力だ。
その帝王軍が人間界侵攻を考えているという情報をつかんだ。
阻止するため、まず帝王軍選抜トーナメントに優勝し、そこで帝王軍の者への接触を考えた天界軍。
朱雀、美波神邏の活躍により無事優勝。そして魔界のある場所で、帝王軍と接触することとなった。
会場に残されていた特殊な機械、それに記された場所、日付と時間。それが今日この日この時間だった。
おそらく接触に来るのは帝王軍の下っ端のみ。ゆえに少数でその場に向かうこととなった。
優勝者の神邏、四将軍西ヒカリ、そのヒカリの部下二人に♧の
これならばなにがあろうとも失敗はない。
……そう皆は思っていた。
♢
――神邏side。
俺達は約束の場に来ていた。
他の皆は少し離れた所で隠れながら待機。
俺だけが目立つ所に立っている。
……後は帝王軍が来るのを待つだけ。
辺りを見渡す。
魔界か、初めて来たが……少し荒れ果てた地だな。
人間界みたいに、整備されたりしてはいない。
山や谷底に大きな穴と、どことなく危険な場所だ。
まあ、ここだけが開発もされてないような土地なだけかもしれないがな。
……空は暗い。だがそのわりには朝のように周りは明るい。
太陽が見えてるわけでもないし……
本当によくわからない世界だ。
天界は単純に近未来に見えた分、余計わからない。
ちなみに魔界へは天界からやってきた。特殊な鍵を使って。
都合よく、降り立った地から約束の場所は距離の近い場所だからよかった。
魔界は人間界よりも広い世界らしいし、下手な所だとたどり着くのも大変だったろう。
……まあ奴らも別世界からやってくるのを把握して、近い所を指定したのかもしれないが。
――そうしていると、怪しい連中がやってくる。
ついにお出ましか?
マントにローブもまとい姿が見えない。顔を見せる気にならないのか?それとも疑われている?
「優勝者のサウスで間違いないな?」
怪しい男は俺に問いかけてきた。
「ええ。帝王軍の方ですか?」
俺は質問した。
「うむ。まずは優勝おめでとうと言っておく。これから名誉ある帝王軍へと入隊できることを誇りにおもいたまえ」
「……どうも」
「まずはただの兵隊からだがね」
「それはもちろんわかってます」
……怪しまれないように、礼儀正しく、やる気あるように振る舞う。
「無論活躍次第では速い昇給もあり得る。部隊長、幹部、はたまたその上にもな」
「……今は幹部の方、何人ほどいらっしゃるのですか?」
とりあえず、世間話をしておく。
「部隊長はそれなりだな。幹部にもっとも近い部隊長こと、七つの大罪人という上級部隊長」
「……」
「その上の幹部は八人、
「……八人」
「上はまだあるぞ」
やけに階級あるんだな。天界軍みたいだ。
「最高幹部、帝王六騎衆。その六人は帝王軍最高戦力で、帝王陛下直属で支配地域を任されてるエリート集団だ」
帝王を除けば一番厄介な奴らということか……
俺が世間話で注意を引いてる間に潜んでる方々は動き出す。
「西将軍、そろそろよいのではないですか?」
♧の十一、正さんがヒカリ先生に聞いた。
「そうね、気配を消しつつ、一気にそこの下っ端とらえましょう。いいわね?野原、大場」
ヒカリ先生の部下、野原夢乃。
階級は♡の七。
ロングヘアーで栗色の髪、小さい背丈。目つきはやや悪い。
大場もとむ。♡の五
ロリっぽい容姿。年齢は二十代らしいが背や体格も小学生にしか見えない人。
二人ともかわいらしい人ではある。
「ねえお姉さま。帝王軍一人しか来てないし、慎重にならなくてもよいのでは?」
大場さんはあくびしながら言った。
「油断しない。相手は人間界の魔族とは格が違うのよ?一人とも限らないしね」
ヒカリ先生は大場さんの頭を軽くたたく。
余談だが、姉妹ではない。お姉さまと言われてるが。
「いーからいきましょーよ。朱雀が注意引き付けてるスキに!」
野原さんがせかす。
「そーね。行きましょうか」
四人は動き出したらしい。
帝王軍の兵隊の背後周辺に回る。
おそらく気づかれてはいない。
「よし、お姉さま!アタシが一瞬で捕らえて見せますよ」
「大場!ちょっと待ち……」
ヒカリ先生の制止を無視し、大場さんは飛び出し、俺と話してる帝王軍の男を背後からねら……
――シュン!
……俺も、ヒカリ先生も、今の一瞬何が起きたか、すぐに反応出来なかった。
突如何者かが大場さんにぶつかってきたようにしか見えなかった。
だがすぐに何が起きたかわかった。なぜなら目の前に出来事の結果が転がっていたからだ。
「大場!!」
ヒカリ先生以外の二人の叫びがこだました。
……大場さんの首が三人の目の前に転がっていたのだ。
首の取れた大場さんの体から血が吹き出していた……
ショッキング過ぎて、俺は何も出来なかった。
一方先生は殺った相手を確認。
近くに三本の角をはやした、褐色の肌の女魔族の姿がそこにあった。
殺したのはこいつか?
……そして、ボー然としていた俺の目の前に二人の魔族が現れた。
一人は巨体の白髪頭のひげ面の男の魔族。
もう一人は背丈は普通。だがただ者ではない風格を感じるダンディーな男の魔族。
「よく、やりましたねえオニード」
ダンディーなほうが女魔族を褒めた。そのオニードという女は「当然ですわ」と笑っている。
「情報屋によると、四聖獣がいるとか……君と後ろの女性かね?」
……また情報屋か……
ということは今回の作戦は帝王軍に漏れていたのか……
天界軍には奴への危険性は進言していた。だが突っぱねられた。
そんなわけのわからん奴に天界の情報などわかるわけない、と言われて……
もう少し警戒していれば、こんなことにはならなかったかもしれない。
俺の力不足で死人が出てしまった……
――せめて、仇は!
「リーゼ!」
朱雀聖剣を出現させる。
そんな俺を見ると、話していた帝王軍の男が言う。
「バカめ。戦うつもりか?このお二方を誰と思っている」
「……知るかよ」
「なら教えてやる。帝王六騎衆だぞ?先ほど教えた」
その名前は……帝王軍の、最高幹部。
六騎衆の、ダンディーな男は言う。
「申し遅れましたね。自分は六騎衆が一人、
深々とお辞儀してきた……
「ワガハイは
巨体の男も自己紹介してきた。
……誰だよ。下っ端しか来ないなんて言った奴は。
最高幹部が二人も来るとか……さすがに聞いてない。
――つづく。
「こ、これ大丈夫なんですかね?いきなり死人も出ましたし……神邏くんが心配です……」
「次回 六騎衆の恐ろしさ ふ、不吉な!」
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