第18話「女子力」
「きゃぁあ!」
悲鳴と共に、誰かが崩れ落ちる音がした。
「大丈夫?!」
部活中、同学年の子が足をもつらせ地面に横たわった。
すかさず駆け寄ると、膝の
「これ、使う?」
「えっ!ありがとう〜
と言って、前髪を直しながら受け取った。
そんな彼女の方が、よっぽど女子力を意識しているように見えた。
念の為と、その子を保健室に連れていくことになった。付き添いで行った私は、保健室の先生に状況を伝えた。すると、
「それは、女子力じゃなくて『人間力』だよ」
と言った。私はまだ、そこにある違いをよく理解することができないけれど、ただ、嬉しかった。私のした行動が、もし私ではなく男だったのならば、それはどのように言い換えられるのか。そんな性別で決めつけるような言い方は、褒め言葉でも嬉しく感じなかった。
片付けの時間を知らせるミュージックが鳴る。
「もう戻らなきゃね」
『
この人になら、話してもいいかもしれない。全学年を見ている先生だ。きっと、知っているかもしれない。私が、ここ最近ずっと不可解に思っていたことを。
「あの、先生」
「ん?」
「『
真っ直ぐに、先生の目を見つめる。
先生は、首を傾げてこう言った。
「誰のこと、かな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます