【1万pv感謝】パトロンは悪役令嬢。魔王という生き方に嫌気がさして、勇者にわざと討伐されてみたら片田舎の人間の子供に転生したので、平々凡々な魔法研究生活を望んだ日々の記録
第9話 世間一般にはジャイアントキリングが喜ばれるけど、実際は圧倒的な力で俺TUEEEEする方が好まれる話 後編
第9話 世間一般にはジャイアントキリングが喜ばれるけど、実際は圧倒的な力で俺TUEEEEする方が好まれる話 後編
「そのちんちくりん、もしかして高位のプリースト?」
まぁ女神の末裔である余だからそういう道もなくはないが、このリリムとやら余程あのクソ呪いに自信があったと見受ける。
「違う。余は魔王。エルシファー」
「まっ……軽々しくそんな名前を、せっかく宝石に化けて貴族達の中を転々として大きなパーティーがあれば一気にその魂を食べてきた私でも遥か先にある目標なのに、命の短い人間風情が! 魔王というのはこういう力を使う者の事って教えてあげる! “燃え続ける深淵の焔よ。今こそその憎悪に形を持って……“」
黒い炎、ほぅ。炎ではなく暗黒に形を持たせた魔法か、中級と言っておるが、こやつ上級悪魔、グレーターデーモンくらいの力をもっておるらしい。
「エルシファーちゃん、あれは……大丈夫じゃないやつじゃない? アレ、確か私の知ってる乙女ゲーで闇の末裔とかいうエンディング前に、その手下になった私が主人公を庇って焼かれて死ぬ。どちらかと言えば私的にはトゥルーエンド寄りの死に方をするダーク・ブレイズじゃ……」
何を言ってるか分からんが、レミレラからするとトラウマの魔法なのか? というか段々レミレラのやつが小物に見えてくる。いい意味で言えば身近に感じられるようにはなってきたが……
ようやく術式完成か、時間にして3分くらいか? 見せてみよ。この世界でうける初めての暗黒魔法。
「あの世で後悔なさい! 暗黒魔法・ダークブレイズ!」
炎に擬態した闇のエネルギーの放出。これそのものが魔族と言ってもよい程の質量。リリムのやつは息が上がっている。これが、奴のエンドマジックというところか?
「ふん!」
さて、余の体は女神の末裔、暗黒魔法との相性は最悪だが、暗黒魔法への耐性がある身体。そして余は暗黒魔法の超スペシャリスト。結果どうなるかと言うと、やつの放ったダークブレイズを余の暗黒魔法で包んで受け止める。
「確かさっきのスペルは……“燃え続ける深淵の焔よ……“やっぱりやめた。こんな魔法、自動化で十分」
一般的には無詠唱と呼ばれる高等技術だが、魔法の発現パターンをあらかじめ用意しておくことでほぼノーモーションで前回使った魔法を行使できる。余に魔法を長々と見せつけてくれたおかげでリリムの魔法は既に解析済み。
そして、余なりのアレンジ。
「暗黒魔法・ダークブラスター!」
黒い炎の魔法ではなく、暗黒のエネルギをそのまま砲撃として撃ち出す。このほうが逃げ道もないしの。
「うぎゃああああああ!」
羽が燃え、ジタバタと転がり苦しんでいる。なんと情けない。余はそんなリリムに向けて手を、
「サンダー!」
「きゃああ!」
初級魔法で痛めつける。さすがは悪魔、初級魔法では対してダメージは受けないらしい。
続いて、
「サンダー・ボルト!」
初級魔法でサンダーの上位魔法。頭を隠してこちらを睨むリリム。
「わ、私はそんな精霊魔法系には耐性があるんだから」
「うん、知ってる。悪魔リリムの魔法耐性実験をしている。次は中級・サンダー・シュート!」
5本の雷がリリムを狙いホーミング。同時に五発分のサンダーを繰り出す魔法。獲物を狙うのに使い勝手がいい。次は同じ中級。
「サンダー・クラッシュ!」
「痛い……痛い、痛い……やめて……」
さて、まだ余には上級魔法。ギガプラズマも、超級魔法、ディアボリック・サンダーも、神話級魔法、プルートサンダーもまだまだ使えるのだが、そろそろリリムの耐久力の底が見えてきたの。
「悪魔風情が見るに耐えん! 余の至高の稲妻にて消し去ってやろう。“境界の暴風神よ! この世の生きとし生けるもの全てに等しい滅びを、極光と共に眩い夜の帳を下さん“」
こやつの局所結界内、余としても久々の超大技だの。勇者の仲間であった魔法使いを屠ったこの稲妻。秒は耐えてみせよ!
「あー! あー! あー! お許しください! そんな魔法を使える人間の子供なんていやしませんよ! あなたは、いえ貴方様は紛れもない……魔王様、このリリムの数々のご無礼をお許しくださいませー!」
何度も地面に頭を擦り付けて謝罪するリリム。雑魚すぎるであろう。とはいえ、レミレラの命を奪うのであればこやつ、生かしてはおけんだろうな。
「ならん。貴様はここで滅する。今までいか程の命を食ろうてきたのかは知らんが、ここが潮時と知れ。貴様の運命はレミレラに近づいたことで決まっておった。卑しく、賢しく、静かに滅んでゆけ」
ラグナ・スーパー……
「エルシファーちゃん、ストぉおおーぷ!」
余の前に両手を広げて立つレミレラ、邪魔をするでない。悪魔程度余の力を持ってすれはば跡形もなく消し炭にしてくれるわ!
「邪魔、レミレラどいて、そいつ消せない」
「エルシファーちゃん、もうリリムに抵抗する素振りはないわ」
は? 甘すぎであろう? 悪魔という連中に恩は感じぬし、力を取り戻したら仕返しにくるであろう。というか、ここで逃したら次に余がレミレラを守とか不可能であろう?
「余がいない時にレミレラが狙われたら助けられない」
「だよねー、だから、このリリムに選ばせてあげようよ。ここでエルシファーちゃんに滅ぼされるか、いうことを聞いて生きながらえるか」
リリムは鼻水混じりの涙顔で顔を上げてよ達に懇願する。
「どんなことでもします! ですから私と契約していただければ命を終える日までお守りしますぅうう!」
なるほど……ならば、
「私がリリムと契約する。命令はレミレラを生涯守こと」
余がそう言って手を出すとリリムは余の手に触れて契約をする。まぁ、賢しい悪魔の考えることだ。
「契約に従いお守りしますとも! ですが、エルシファー、貴女が死んだ時、その魂は私のもの! それまでは人間の一生を共に生きるなんて通過する程度の時間ですわ!」
そう言ってリリムはレミレラの横に立つ。万が一余がいなくても時間稼ぎ程度にはこれでなるだろう。まぁ、リリムの奴はアホだから、余がこのエルシファーとしての人生を終える頃に魂を奪ってしまおうとか思っているようだが、契約は余のもつ魔王権限で消し去り、余の願いであるレミレラを守るという仕事を全うすることだろうの。
「リリム、この局所結界を解除せよ」
突然パーティーが動き出す。なるほど、余のファミリアになったことでそこそこの力を受けたわけか。不敵な笑みを余に浮かべているので、現実に戻してやろうかの。
「リリム、貴様は余の命令にもう逆らえない。が、余は貴様との契約なんぞ秒で無にしてやった。まぁ、人間の短い人生、せいぜい守ってやるのだの!」
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