母の詩

カーネーションに包まれて

笑顔の花となった貴女には

おめでとう よりも

どんな高価な贈り物よりも

ありがとう の心が良く似合うと

当たり前のように

僕はやっぱり思うのです


貴方に母の日の詩は書けないでしょう

僕の母たる貴女が意地悪そうに仰るから

そんなら一筆書いて差し上げましょう

僕は笑いながら応えたのですが

ひとたび部屋の机に向かうと

遅々として筆の進まぬこの我が身を

いつものように思考の目で睨むにつけ

貴女が僕の全てを見透しているようで

なんだか空恐ろしくもあり

この上なく幸せな心持ちもいたします


今日は生憎あいにくの雨模様ですが

一家一族の太陽たる貴女の姿を

どんよりと曇らせるものは何一つなく

寧ろ 貴女の心の体温を

よりはっきりと感じさせるような

味わい深い知恵の甘露が

そらの向こうから注いでいるのだと

どうも この愚かな僕には

益々ますますそう思えてなりません


おお 世界に冠たる我が母よ


貴女の その笑顔の花が

ようやくしてきた陽の光に

とても良くお似合いです

……ああ ほら ご覧下さい

翼を揚々と広げたあのツグミたちも

母という真なる美を

心底言祝ことほぐようではありませんか


母よ

貴女の生命の妙なる光が これからも

末長くさちの香に包まれながら

人生の大空に舞い羽ばたきますように

と 忠心より祈りつつ

この拙き筆を擱くことといたします




      令和五年皐月さつき 母の日に


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