善悪の彼岸
僕の脳味噌カレーが爆発して、太古の海へと還ってゆく。理性のレンタル稼業も下火になって、一心不乱にフラフラの毎日。アルバート・キングのベンディングノートに耳を傾けながら、思考に過去というセピアの壁を穿つよう仕向けてやるにはモッテコイの日々。二億六千万年と三十二日目。太陽は今日も甘すぎた。
棚に置かれた額縁の牢獄に、独り閉じ籠るチャイコフスキー。その悲愴な肖像に目を遣ると、部屋の小さなガラス窓越しに、虹色の
二十四世紀末には、地球上の人間は一人残らずピテカントロプス。……とは言え、木星はその頃には既にブラックホールの気紛れに絞め殺されているはずだから、あなた方の頭の中で発酵している
人生行路の節々に韻を外して口惜しく思う度に、あなた方の内なるポセイドーンは七つの海に曙光の繁栄をもたらす。その奇跡は全て、他ならぬあなた方の心の日記に仕舞われている。尖りすぎた針先が母なる時計の文字盤に皺を増やしてゆくのを、八億七千万年前の月が口を閉ざして緩く眺めている。
老獪な論理の綾を蟹の
ふと、
明日になれば、二億六千万年と三十三日目。
靴底に震える僕の太陽は、永劫回帰の闇の中、更に甘味を増すに違いない。
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