大嫌いなはずだった。

ゆー

第1話 「友達が欲しい訳じゃないからな。」

『大嫌いなはずだった。』

そう、大嫌いなはずだった。なのに、なのに、、

どうしてこうなってしまったんだ?!


きっかけはあの日、君と出会った日。

入学式が終わり、教室が騒がしくなってきた頃だ。

僕はあんな奴らとは違う。友達とか、恋人とか、くだらないものだ。

そんな余計なものに時間をかけている人間は多すぎる。

自分だけは違う、自分は特別だ。

ーそう思ってきたのに。

「何してんの?」

誰だ?急に話しかけてきて、僕は友達が欲しい訳じゃないからな。

「な、何って、お前には関係ないだろ。」

ただ教室の隅で桜を眺めてしただけだ。話しかけるなって言ってるようなものじゃないか。こいつはなぜ僕に絡んでくるんだ。

「もしかして、友達いないの?」

「は、はぁ?そ、そんな訳、ないだろ。友達の1人や2人くらい、、」

動揺して言葉が出てこない。別に友達がいないことを隠すつもりはないのだが、

愚かな人間と関わる気は無いので濁しておく。

「じゃあ私が、友達になってあげようか?私は田中 若菜わかなよろしくね!」

彼女は何を考えているんだ。僕と関わってもメリットなんてひとつもないのに。

「まあ、友達が、欲しかったわけではないけどな。別になってあげなくもないけど。一応、名前は谷川、雅人まさと。」

『大嫌いなはずだった。』


人と関わる人なんて、メリットを求める人ばっかりだ。この世界はそうやってできている。



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大嫌いなはずだった。 ゆー @yuukum21

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