第十話 年末
短いので連続投稿です。
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夏が終わり、秋も過ぎて寒い冬空。
今年も終わり、新年を迎えようとするこの大晦日は静かであるが慌ただしい雰囲気が漂っている。
すずらんの家では、美穂と子供達が掃除をしている。もうすぐ新しい年が始まるということで、みんなで大掃除をし、気持ちよく新しい年を迎えようとしていた。
「みんな~、ちゃんとお掃除できたかな?」
「「「はーい!!」」」 子供達からの元気な返事に微笑みを浮かべる。
「よし!ご褒美として今から年越し蕎麦を準備するから、みんな待っててね」
子供達から歓声があがり、美穂は台所で食事の準備に取り掛かる。
その間、子供達は出来上がるまで各々の自由時間を取る。その時間にソラは机の上に向き合いながら、ひたすら何かを書いていた。
「ソラお兄ちゃん、何してるの?」
フミが声をかけると、ソラは書いていた筆ペンを机の上に置き、笑顔を見せた。
「あ、フミ。年賀状を書いてたんだ。」
「そうなんだ。誰に書いてたの?」
「今書いているのは、前の学校の友達」
ユウキは優しそうな笑顔で、教えてあげる。もうすっかり優しい兄の顔をしていた。
「ここに来ることになった時、ちゃんとお別れできなかったからね」
「そうだったんだ。でも、お別れって寂しいもんね………」
フミが少し寂しそうに言うと、ソラは優しく微笑んだ。
「うん、寂しかったな………でも、もう全然さみしくないよ。ここに来てから、みんなと一緒に過ごせるようになったから」
「そうだね!あたしも、ソラお兄ちゃんの手伝って、みんなで送っていい?」
そこでフミの表情が明るくなり、一緒に年賀状を書くことにした。
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美穂さんが作った年越し蕎麦を食べた後、僕らは大晦日の特番を見ながら年越しのカウントダウンを待った。アヤとジュンタも最初こそは一緒に眠気を我慢したが年越し二時間を前にギブアップ、美穂さんが子供部屋に寝かせつけた。
残ったみんなも、眠気を我慢して楽しそうにおしゃべりしながら大晦日の特番を楽しんでいた。そしてだんだんと時計の針が近づくにつれて、ワクワク感が高まっていく。
「あと30秒だよ!」
美穂さんの声に、みんなは大興奮。10秒前からカウントダウンを始め、
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1!」
新しい年を迎える瞬間………
「「「あけましておめでとう!」」」と祝福の言葉をかけ合った。
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『『明けましておめでとう!ソラ!』』
去年の新年を迎えた時を思い出す。
その時は、お父さんとお母さんの3人で過ごした。お父さんと一緒に家の大掃除をしたり、お母さんの年越しそばとおせちをおいしく食べたっけ………
それを思い出すたびに、心が苦しくて涙が滲みそうになる
けど………
周りのみんなが喜びと祝福の声を上げている姿に、ソラの心は晴れていく。
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