第4話 パパとママは…無事かな!?
王子や王女たちは、宮殿に自分たちの屋敷を持っていて、普段はそこで生活している。でも聖なる石を探す為、定期的に宮殿を抜け出し、ここに来ているということだった。
食事の後、ふたりはいろんな人から話を聞けて、大分この世界のことが分かってきた。
この国の名前はスペランタ王国というらしい。
前王妃が亡くなってから、王が悪政を
現在は宮殿のほとんどを王妃が
唯一、セシルだけは、地位を脅かす存在になりえないので、今はノーマークらしい。王女のことまで、気にしてはいられないのだろう。
聖女のレイアさんは、本来なら聖女として宮殿で暮らすべきなのだが、今はこのログハウスで生活をしている。宮殿には今、王妃側が立てた偽聖女が居て、レイアさんは指名手配されている身になってるらしい。
前聖女のサラさんが宮殿を追われる前にノーマークの王女宮の中に、この隠れ家へ一瞬で来れるホールを作ったので、皆、宮殿からの行き来はそれを使っている。これのおかげで、王や王妃に、気付かれることなく行動出来ているという事だった。
二人はログハウスの外にも出てみた。
隠れ家と言うだけの事はあって、ログハウスは森の中にあり、四方が高い木々で囲まれている。
それと、このログハウス、意外に大きい事に驚かされた。
夜になり、皆で夕食を食べた後、二人は最初に目覚めた寝室で休むように言われた。
由香と亮介はそれぞれのベットの上にあがると、それぞれのベッドサイドに置かれてる大きな袋をひっぱり、ベッドの上に置いた。この袋は、転移時に持っていた物を入れておいてくれたものだ。
由香は電子腕時計を
また袋を探ると、ポシェットとスマホが出てきた。スマホをバッと掴み、アンテナを確認すると一本もたっていない。
そりゃそうだなと、
由香は急に寂しくなり、亮介の方を見た。
亮介もスマホを見ていたが、ため息をつき袋から双眼鏡を取り出した。
「双眼鏡!?一緒に転移されたんだ」
由香が驚きの声をあげた。
「身に着けている物とか、触れている物は全部一緒に転移されるみたい」
亮介が冷静に言う。
「みたいね。ま、双眼鏡は何かの役に立つかもね」
「うん、まあ、他には何もないけど」
「わたしも。あ、でも充電器もってるから、スマホの充電はできるよ」
「ゲーム出来る?」
「オフラインのは出来ると思うけど、まあ、あんまり電池消費しないようにね」
と言いながら由香が噴き出す。
「なに?」
「いや、異世界に来てまで、ゲームって…」
「いいじゃん、べつに」
ふたりは袋を片付けて横になる。
「なあ、ねえちゃん」
「ん?」
「パパとママ…無事に逃げられたかな?」
「…」
由香は亮介の方をバッと向く。
「あたりまえじゃん!」
「…そうだよな。俺たちだってこうやって生きているんだから」
「そうだよ!さあ、もう寝るよ!おやすみ」
「うん、おやすみ、ねえちゃん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます