童話いろいろ
ひつじ雲
星だまり
私は、暗い夜の森を歩いている。
突然星がたくさん降っているので、傘をさした。
傘をさすと、星が傘の上に落ちてきて、光っているのが傘の内側から見えた。
この光が何年も前からずっと光っていた光だとは信じられないな。
星はまるで雨のように降ってきたので、地面に落ちるときには液体になっていた。
その光景を見ていると、動物たちが集まってきた。
動物たちは、液体になったその星だまりをしばらくの眺めていた。
動物たちは星は飲めないということを知っていたのだった。
星だまりは鏡のようになっていて、
そこに映る顔は自分じゃない顔のようだった。
うさぎの顔は、やつれたおじさんに見えた。
熊の顔は、びんぼうなおじいさんに見えた。
ぞうの顔は、まずしいおじいさんに見えた。
きりんの顔は、不幸そうなおじいさんに見えた。
そして私の顔はといえば、かわいらしい、黒髪の女の子に見えた。
みんなはそれぞれ、黙って、星だまりに映った自分じゃない顔を見ていた。
しばらくすると、星だまりは消えてなくなってしまった。
星だまりがあった場所を覗き込むと、
三玉のレタスが置いてあったので、
それをみんなで朝ごはんにした。
とってもおいしいレタスだった。
食べているうちに、空が明るくなってきて、
太陽と雲と草木が見たこともないような
鮮やかな色になっていた。
おしまい。
童話いろいろ ひつじ雲 @soa16
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