見知らぬ人のラジオ


わたしは四畳半のぼろぼろの部屋にいて、

ラジオを聞いていた。


見知らぬ人と、その人の彼女の惚気話が

ラジオから流れてきていた。


ラジオの電源を切ることも

そこから立ち去ることもできなかった。

むしろ釘づけになって聞いていた。


お互いに好きなところを言ったり

どこどこへ行ったという話をしたり


本当にその人は見知らぬ人だった

見知らぬ人の知らない話なのに

なんでこんなに涙が止まらないんだろう

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