カーネーション
みゃー
第1話1
秋野千紗は、31歳の東京の大手食品メーカーのOLだ。
ストレートで入った東京の某有名大学を4年で卒業し、そのまま沢山のライバルを蹴落とし、今の会社に将来有望株として華々しく入社した。
経歴には、何一つ瑕疵はない。
しかし、会社のトップ達の期待とはウラハラに、千紗は社内で上手くいっていない。
千紗は頭はいいが、人間関係が兎に角下手だった。
色々モメてきた。
何度か配置転換をくらい、まだ会社には居残っているが、今の部署でも、部下の女性パート従業員達とは上手くいってない。
今日も、7月の終わりの暑い中出先から男性の部下一人と会社に帰ってくると、部屋から、中年女性パート従業員二人の声がした。
「もうそろそろ、秋野主任帰ってくるよ」
「あー、やだやだ!そのまま直帰しろつうの…」
「ほーんと。あの行かず後家確実のお高く止まった顔見なくて済むのにさー。アハハ!」
千紗は、ドアを開けず、そのままその会話を聞いていた。
「あっ…あの…」
千紗の背後にいた部下の多部が何か言いかけたが…
千紗はそれを無視してドアを思い切り開けた。
悪口を言っていたパートの他に、
デスクで仕事中の正社員の男女が何人かいたが、部屋がシーンと静まり返る。
だが…
「あら…秋野主任。お帰りなさい。あの…今の話…お聞きになってましたぁ?」
千紗を悪く言っていた一人が、堂々とした態度で千紗の目を見て笑って言った。
回りのみんなが、千紗の返事を固唾を飲んで見ている。
今度何かあれば、千紗は多分もう会社を辞めないとダメだろう。
「あっ、いえ…何も…」
千紗は、腹が煮えくり返っているにも関わらず、冷静にそう返した。
「あっ、そうそう…社長が直々に何か秋野主任にお話があるそうですよ。帰ったら社長室に来るようにだそうです。どちらかに栄転のお話ですかねぇ?」
悪口を言っていた、もう一人が、馬鹿にしたような口調で言った。
これだけ大きな会社だ。
何かあれば、まず千紗の直属の上司からまず話があるのが普通。
千紗ですら、社長に会えるのは、年に一度あるか無いかなのに…
千紗は、社長直々に呼ばれた事で、よほど千紗の評価が悪く、会社をいよいよ辞めさせられるんだと覚悟をした。
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