第25話 達成しちゃった……
――ドゴッ!
『ホーンボアからボアこま塊【E】と消化されきる前の千ソゲソ菜【F】がドロップしました。第3区画解放の条件達成まで残り2種類』
――ドゴッ!
『ホーンボアからボアこま塊【E】と消化されきる前のテツガノ草【F】がドロップしました。第3区画解放の条件達成まで残り1種類』
――ドゴッ!
『ホーンボアからボアこま塊【E】と消化されきる前のピニガ【F】がドロップしました。第3区画解放の条件達成。第3区画が解放されました。ボス区画が解放されました。ボス討伐後2階層解放。第1区画と第2区画を統合。モンスターのスポーン地点変更及び、第2区画のクリエイトが可能になりました。どちらも素材の消費があります』
「こいつらの股間蹴り飛ばしてるだけで終わっちゃったよ……。いやいいんだけどね! ただ達成感は今回もなし……モヤモヤするからお前の股間もドーンッ!」
挙手なんかあるわけもなく、淡々と同じ要領でホーンボアを倒して条件を達成した俺は、いつの間にか最後の1匹になっていたホーンボアをも蹴り飛ばして、ようやく防御壁と俺の生産場を防衛。
気づけば防御壁の付近にはイキリ爺は勿論のこと、マッスルチキンやチキンチキンそれにその子どもまで、ホーンボアのいる辺り目掛けて唾を吐いたり、中指を立てたりと最高で最低のパフォーマンスをとっていた。
こういう時労いの拍手とかができれば良かったんだけど、俺育て方間違えすぎたかも。
「かーっぺっ!」
……。
特大のやつぶつけてるな、イキリ爺。
そういえばスポーンの仕様次第ではあるけど、ホーンボアをこっちまで誘き寄せなくてもよくなる。
ということは、イキリ爺への罰が無くなる。
それはそれはそれは大変面白くない。
「俺はあいつをどうしてもホーンボア担当にさせたいんや! えーっと取りあえずまた檻を作って、チキンチキンは卵からと自然スポーンは別になってるみたいだから、これを入れ替えて……よし。あとはちょっとゆったりしたスポーンで頼む!」
両手をハエのように擦り合わせながら俺は新しくホーンボアの肉、ボアこま塊【E】の生産場を作った。
細切れ肉しか手に入らないのかどうかという懸念点もあるけど、今はそんなことどうでもいい。
そう。
今1番重要なのはイキリ爺をちょっとだけ苦しめられるシステムが作れるかどうか、それだけだ!
『スポーン地点の入れ替え完了。対価としてホーンボアの反り立つ角を2つ消費。さらに建設用に3つ消費。入れ替わったホーンボアのスポーン地点の上に檻を建設します。……。……。……。建設完了。取り壊しや移動の際には再び素材が必要となります』
結局余って使わなかったあの角が思わぬ形で利用できたのは大きい。
多分このダンジョンでドロップした物だから食材として使えなくはないんだろうけど、その用途じゃ俺には必要ない。絶対ない。
うん、これからもクリエイト用にだけ使っていこう。
「それでどんな感じにできたのかな? あれだけ白くて立派な素材なら城みたいなのができてるは、ず……。あれ?」
アナウンスが終わると、なんだかんだ新しい建物にウキウキしながらマップを覗き、ホーンボアがスポーンする檻の下へ。
しかし、そこにあったのは俺の想像とは違ったキノコ型の檻。
基本白色で先っちょがピンクっぽい。
「ギリギリセーフ……。いやアウトだな。あの発射を見た後だと尚更。というか、この見た目になるってことは……。考えるのやーめた! おいイキリ爺! ちょっと中を確認してきてくれよ!」
「ごがぁ……」
「ほら、ここ扉になってるから! ……。ほらほらほらそんなに遠慮するなって!」
「ご、がががががががががががが!」
早速檻の扉を開けると俺はイキリ爺の手をとり、半ば無理矢理扉の前に立たせた。
でも何か不安に駆られたのか抵抗するイキリ爺。
ちっ。勘のいい鳥は嫌いだよ。
「嫌々よも好きの内だろうが!さっさと中入れ!」
「ごがあ!!」
「大丈夫。やばそうだったら直ぐ出してやるか……。おっ。スポーン始まったぞ」
イキリ爺を蹴り飛ばして中へ入れると扉を閉めて観察に映る。
すると丁度いいタイミングで、しかも下からゆっくりゆっくり上がってくるようにホーンボアがスポーンされていく。
これは……最高のパターン!
「おい! 完全にスポーンする前に角折って! 頭叩いて倒して! そう! そうだ! いいぞ!」
「ごっ!! がっあ!! ひぃあっ!!」
スポーンしきれば自分がやられるという恐怖感で必死にホーンボアを殴るイキリ爺。
あー、胸がスッとする。
因みにこれは苛めじゃない。鍛練だ。
ちゃんとやればやられることはないし、筋トレにも……
『テイムしたマッスルチキンのランクが【H+】になりました』
ランク上げにもなるのだから。
「ぴぎゃあああああああああああ!!」
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