第23話 デザインセンス、えぇ……
『ホーンボアからボアこま塊【E】が5つドロップしました。第3区画解放の条件、残り4種類の採取。ランクがC+に上がりました。身体能力が向上します。スキル身体強化シリーズの効果が【中】に変わりました。その際潜在能力が一部解放される可能性があります。ドロップレベルが20に上がりました。鶏ガラのドロップ率が上昇しました。ランクGから最低ランクのモンスターによる第2ドロップが解放されました。採取の際、別途採取という行為に対して採取ボーナスを追加。経験値加算さらには一定数の採取物をアイテム欄に自動追加し―― 』
――パンっ! パンっ!
「ぶもおおお!!」
「ちょっ、アナウンスが途中でしょうが!!」
ホーンボアを倒したことでアナウンスが流れ、長らくないなないなと思っていたランクアップが確認できた。
しかし、喜ぶ暇もなくホーンボアたちは防御壁の中にいるイキリ爺に向けて股間から角を連続で発射。
コントロールはさほど効かないようで、中には俺目掛けて飛んでくるものも。
しかも、これがかなり速い。
なんなら下手に避けようとする方が危ないまであるな。
「身体強化中(腕)」
早速強化されたスキルを発動してサバイバルナイフを取り出す。
スキルの効果で腕は著しく膨張。
二の腕は太ももくらいの太さになった。
攻撃力が増したのは勿論、防御面も向上させようとしているのか体表には黒い鱗が生え、パッと見ドラゴンのそれに思えなくもない。
ここまで変化が大きいと、かえって元に戻るかどうかの方が心配になるけど、一旦それは頭の隅に追いやって
俺はサバイバルナイフを持つその手を大きく振り上げた。
「こんなもん、さっさとへし折れろ!!」
角が直撃するよりも先に俺のサバイバルナイフがそれを突き刺し、そのまま地面に叩きつけることに成功。
若干振動で手がしびれるけど、ランクアップで動体視力も上がったからか、これぐらいならギリギリ難しいとは感じない。
「ぶもっ!?」
「どうした? 自慢の攻撃が防がれてようやくビビったか?こんなところで汚く待ち伏せ、防御壁があると分かるやいなや諦め……あれ?大層な面構えかと思ったけどお前ら、実は弱いだろ? そんでもってビビりだろ?」
「「……」」
俺の言葉が図星を突いたのか、黙るホーンボアたち。
モンスター相手とはいえ、このしてやった感たまらんぜ。
イキリ爺じゃないけど、もっともっとイキりたくなるわ!
シナチクでも投げつけてやろうかな?
「ぷーっ! くすくす……」
この光景が面白かったのか、防御壁で必死に笑いを堪えるイキリ爺。
自分がやったわけじゃないのに……この分野だとやっぱりこいつには勝てそうにない。
しっかり的確に腹立たしいんだよな。
味方だけど、しばらくはホーンボアを誘い出す囮役っていう外れ仕事を任せよ。
「……。ぶも。ぶももももももも!!」
「おっ! ねえ怒った? 怒ったよね?」
先頭に立つホーンボアはついに青筋を立てて鳴き始めた。
流石はGランク。
この状況も俺の言葉もなんとなく理解できているらしい。
「でもどうするよ? その卑猥ミサイルはもう効かないって分かっただろ?」
「ぶもお……」
困りつつも身体を上下左右に振ったり、力んだりして再び股の間から角を生やすホーンボアたち。
頼むから、その生やし方もやめて欲しい。
というか、あれもうなくなって欲し――
『防御壁の耐久値が減少。回復のためにはホーンボアの角を消費する必要があります』
願い虚しく無慈悲なアナウンスが流れた。
あれがマストアイテムになるとか……ということは触らないと駄目ってことだよね?
それに発射された角を受け止めてドロップ品にならなかったってことは、切り落とす必要もある、か……。
気の乗らなすぎる仕事だけどやるしかな――
「ぶももも!」
「「ぶもおっ!!!」」
あそこ切り落とし作業の必要性にため息を溢すと、角が生え揃ったのかホーンボアたちは先頭の合図と共に前足をさらに肥大化させた。
そして股間丸出しのM字開脚状態だってのに、器用に前足で突進を開始。
確かに股間にそんな立派なものがあったら普通に歩けないだろうけど……このモンスター滑稽にも程がないか?
誰だよ、このダンジョンのモンスターデザインした奴。
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