第18話 肛門から……
『コムボール(強)【I+】』
『コムボール(薄)【I+】』
『コムボール(発酵)【I+】』
『コムボール(餅)【I+】』
『コムボール(中)【I+】』
『コムボール(団子)【I+】』
「ふぅ……。こんなに種類いたのかこいつら」
全員の力で全てのコムボールを収容所にぶちこむと、その種類と数をチェック。
総数20。種類6。
これだけいるとなるとまだ種類はありそうだけど、今日はもう無理だと思ってたラーメンの麺の素材になりそうなドロップ品を回収できる個体が手に入ったのは嬉しい。
しかも、『強』と『薄』の個体からは『強★コム粉【F+】』と『薄★コム粉【F+】』っていう『つ●だ★ひ●』みたいな名前で、生地になる前の状態で食材を手に入れることができた。
これで俺の、喜々快々オリジナル麺が作れそうだ。
それと思いがけず収容できたコムボール(発酵)から、『ふっくらふくふく生地【F+】』が入手できたのもかなりの収穫。
これで中華といえばこれっていう料理がまた1品増やせる。
「ただ量産となると……こいつらにどうやって玉を作らせようかな」
檻の中に閉じ込められたコムボールたちは既に意気消沈。
新しく玉を産み出そうとする素振りは一向に見られない。
ま、そもそも何が原料であの玉ができていたのかも分からないから、作らせるも何もないのだけど。
「ごがっ!」
「お、早速餌付けか。俺はそろそろ帰らないとだから頼んだぞリーダー――」
「ゴガッ! ガガッガアッ! ……ふぅ。く、ひひひひ」
さっきの恨みを晴らすようにコムボールにシナチクを投げつけるイキリ爺。
その顔は悪意に満ち満ちている。
そうだ。これがこいつの本性だった。
ちょっと任せるのが不安になってきた、けどもう時間もないし――
――プシュッ!
「え?」
「ごが?」
悪意に満ちた顔から驚きの表情に変わったイキリ爺。
というのも、シナチクを投げつけられていたコムボールたちがついにそれを口にすると、攻撃から身を守るためあの白い大玉の源となるであろう白い粉を噴き出したのだ。
そう、肛門から。
それを口からでる涎で固めていくコムボール。
最悪だ。
何でできてるとか、どうやって作るだとか……こんなことなら知りたくなかった。
でも燕の巣とかあの高級な珈琲豆とかも特殊な作り方されてるから……。
「ま、いいか……。そんでもってドロップ品はイキリ爺任せて帰ろ。っとその前に防御壁は……これでオンにできるのかな?」
俺は不安な気持ちを押し殺してマップを表示。
新しくクリエイトのボタンや防御壁のボタンが追加されていることを確認して、まずは防御壁ボタンをタップ。
すると、マップ上の第2区画までの通路に×印が表示された。
おそらくこれで防御壁が張れたのだろう。
またコムボールが襲ってくる可能性もあっただけにこの機能も有難い、有り難すぎる。
「それじゃ帰りますか。その……ほどほどにしろよ」
「ごかはっはっはっひぃやっ!」
「本当に大丈夫かよ」
そうぼやきながら俺は攻防を繰り広げるイキリ爺とコムボールたちから視線を外し、疲れた脚で扉を潜って1度店に戻った。
◇
「――ギリギリセーフ。さて、上に戻る前にドロップ品出しておこう」
店に戻ると、早速彰君に麺用のドロップ品を見せるためアイテム欄を開いた。
まだ見た目とかもろもろ確認していないけど、きっとこれも風変わりな――
――ふぁさぁ
取り出しを選択すると、俺の目の前に大量の小麦粉、もといコム粉が床に落ち宙を待った。
金色のその見た目は美しい、美しいけど……まさか入れ物無しとは誰も思わないじゃん!
「大丈夫ですか? なんかこっちから音が……」
「は、ははは。……どう?綺麗な小麦粉でしょ?」
「……。こ、これはもしかして……お客さんだけでなく食材にまで寄り添っているってことですね!こうやって全身に纏うことでその全てを知れる、と。その発想、自分には欠けてました」
「だ、だろ?」
「自分も究極の麺のために混ざらせていただきます!」
粉をぶちまけててっきり引かれると思ったけど……良かったあ、彰君が思ったよりヤバい人で。
ふぅ。麺作り……楽しくなりそうだな!
でも今日はもういいや! オレコムギコミタクナイ!
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