第15話 婚約者とご対面

 あぁ眠い。何も思いつかないまま、朝がきちゃった。


「ごきげんよう。

リリアンナ・ド・アンヴィーヌです。

 火の精霊が育てだすころ

 光の精霊が世界を守り 

 貴方様に祝福あれ」


 まさか、礼儀作法の先生にする前に挨拶することになるなんて。心の準備ができてないしちゃんと笑えてるかな。


「おはよう。

ルーカシウス・レ・ピリティアームだ

 火の精霊が育てだすころ

 光の精霊が世界を守り 

 貴方様に祝福あれ。よろしく」


「よろしくお願いいたします。」


「殿下、今回の対談はどこまで説明されていますか」


 ここは子供だけで、大人は隣の部屋で話をしている。多少粗相をしても許されるだろう。


「婚約者になる方のお屋敷へ伺う。とだけ」


 このぶっきらぼうな感じ絶対好かれていない


「単刀直入にお伺いします。この婚約あまり前向きなものではないですよね。」


ほんとに一瞬だけだった。ピクって頬が引きつったのは。流石は王族。


「なぜ、そう思うのだ?」


「噂で聞いているでしょう。私は癇癪令嬢ですよ?」


「よし、正式に婚約しよう。」


 なぜそうなる?


「まってください。婚約したくないんですよね?さっき頬が引きつったじゃないですか」


「それは、王族に向かって随分このようなことを聞くものはなかなかいなくてな。俺の周りは一部の騎士を抜いてイエスマンばかりなんだ」


 疲れているかのような5才らしからぬ険しい顔だ


「で、噂のこともあったし俺は始めにあえてぶっきらぼうに振る舞ってた、そのテストにあんたが合格したってことだ」


「あんたじゃなくて、リリアンナです」


「そうだな、」


態度のわりに随分素直だな。


「これから関わっていくのに名前を呼ばないのはおかしいか。じゃあリリアンナ嬢」


あっ世間体の問題か。打算ね。


殿下は過去を思い出したのか更に大きなため息を吐いた


「噂で聞いたときはどうかと思ったが、自分から婚約しない方を進めるくらいなら、俺にストーカー行為はしないだろうと思ってな。」


 にやりと嫌なことを企んでいるような顔をした。


「噂を程よく受け入れ行動するのも、なかなかできないことだぞ。」


 一度ふきだしてから、ニヤけながら言う。


「それに、リリアンナ嬢より俺のほうが信頼のあるから、リリアンナ嬢が何か言っても妄想癖の人になるだけだからな。こんないい人材逃がすわけにはいかないじゃん。」


 こんなことなら、癇癪令嬢突き通せば良かったかな


 でも、あの人も人の心は持ってるだろうしなんとかなるよね?

 それにこれから増えていく予定の婚約の話の風よけにはなるし。

 

 こき使われる未来は見えるけど...





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