いよいよ忙しくなります

第12話 ご挨拶の練習


「おはようございます」


「おはよう」


「今日は、朝食後に挨拶の練習をしますね。礼儀作法教わるとはいえ、必要最低限の挨拶はできないと失礼にあたりますから。それと、午後は久しぶりに乗馬の練習があります。」


「分かったわ!」


 安静という名目で1週間何もできなかったから本当に楽しみ!ようやく、いろんなことをしてよくなったんだって感じがする。

今までは特に何も思ってなかった乗馬もぜんせでは簡単にできたものじゃなかったし。前世の分までできることはどんどんやってみよーうっっ。


「では、アンナ様挨拶の練習をしましょう。」


「はいっ」


「挨拶は春、夏、秋、冬の四季で変わります。」

春:土の妖精が目覚めだすころ

夏:火の精霊が育てだすころ

秋:水の精霊が歌いだすころ

冬:風の精霊が踊りだすころ


のあとに1年を通して、

光の精霊が世界を守り 貴方様に祝福あれ


基本的には、初めて会う方との場とと公式な場でのみこの挨拶が使われる。


「今回は夏なので、

 火の精霊が育てだすころ 

 光の精霊が世界を守り 

 貴方様に祝福あれ

になります。

昔から伝えられている言葉を今の言葉で話しているので、言葉に違和感があるかもしれませんが、挨拶として覚えてしまってください。

それと、1番始めに名乗ってから、季節の挨拶に入ります。」


季節よって名前が変わるのか...まぁこれくらいなら覚えられそう。


「聞くだけではぱっとこない気がしますので試しに見せますね。」


ティナが立ち上がりスカートの裾優しく持ち、右足を軽くひきながらながら言った。


「ごきげんよう。シャンティ・ファ・ラヴァエーニです。火の精霊が育てだすころ 光の精霊が世界を守り 貴方様に祝福あれ。」


言い終わったあとにお辞儀をした。


きれい。美しいあいさつはこんなにステキにみえるんだ。これをめざしてがんばろう。


「では、アンナ様もやってみてください」


みようみまねでティナの真似をしてみる

「りりあんな・ど・あんゔぃーぬです。ひのせいれいがそだてだすころ ひかりのせいれいがせかいをまもり あなたさまにしゅくふくあれ。」


お辞儀をしようとしたら、バランスを崩しそうになった。


「おっとと」

危ない

姿勢はあとで練習しないとね。


「長いセリフなのに一回目で間違えずに言えましたね!!その調子です!今日は、何十回か練習して何も見ずに最後まで言えるところまでのつもりでしたし、久しぶりに乗馬もありますし、おしまいにしましょう」


「ティナ、もう少し練習したい」

 実は気づいてて、見ないふりしていたことがある。この滑舌。1音1音がはっきりしてなくて聞き取りづらい。しばらく、寝ていたのもあって前世の記憶を思い出す前より滑舌が悪くなっている。

そんなの、過去の自分に負けてるみたいで悔しすぎる。それに、第一印象になる挨拶がしっかりしていて損することはない。


「疲れない程度になら大丈夫ですよ。」


「ありがとう」


「り、り、リリあんなです・・・」




「アンナ様、そろそろお昼の時間です。」


「分かったわ、行きましょう」

ふぅ〜集中しちゃって、なんだかんだ2時間くらい過ぎちゃった。意識して2時間話すだけで、だいぶ良くなった気がする。


「練習の時間とってくれてありがとう、ティナ」

挨拶じゃないところでも滑舌が良くなってる!!あぁー!!なんかスッキリ


「いえいえ、もともとお昼までは挨拶の練習の予定しかいれてなかったですし。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る