初夢の話

 これは著者が実際に体験した出来事である。

 当時小学生だった私が見た初夢。

 それがとても不気味だったのだ。

 不気味すぎて大人になった今でも鮮明に覚えている。


 地平線が無く、永遠に続くような白い空間。

 そんな精神と時の部屋のような空間で目が覚めた私の近くで呻き声がする。

 私が視線をその声の方へ向けると・・・

 

 大きな亀の甲羅の中に首を引っ込めた兄が居た。

 兄の顔は外側から窺えたのだが・・・

 

 何かに踏まれたかのように潰れたその顔はひどく悲しそうだった。

 大粒の涙を浮かべてこちらを見て、苦しそうにうめき声を上げている。

 その言葉にならない声がだんだんと大きくなっていき、私は息を荒らげながら夢から覚めた。


 目が覚めた後、怖くなった私は母にこの話をしたのだが、母は亀は長寿の象徴であるし、そんな不吉な初夢の話を新年早々してはならないと怒ってきた。


 未だにあの夢の中の兄の表情は脳裏に焼き付いている・・・

 そして、時々、ふと思い出すことがあり、私をそのたびに苦しめている。

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