第168話 Side - 16 - 2 - びしょうじょまほうきしりべらちゃん -

Side - 16 - 2 - びしょうじょまほうきしりべらちゃん -



「あれ、でも・・・美少女魔法騎士リベラちゃん、質問があるのです!」


「何だい?」


「私、博士の腕輪をしているからどんな魔法攻撃も無効になるのです、何で疲労回復魔法が効くの?」


「・・・私を誰だと思っているのかな?」


「美少女魔法騎士リベラちゃんなのです!」


「いや違くて!、・・・初めて理世ちゃんと会った時、防御結界の腕輪があるから私の攻撃魔法が通らないなぁ・・・そう思ったのだ、私が腕輪の魔法陣を解析して、無効化対策を考えるとは思わなかったのかい?」


「え、まさか・・・」


「うむ、私はすでにその腕輪の魔法陣を解析済みだ、もちろん無効化する方法も考えた」


「美少女魔法騎士リベラちゃん・・・恐ろしい子・・・」


「冗談はさておき、私に腕輪を・・・魔法陣を見せてしまったから解析、対策されたのだ、もう少し他人に対して用心深くなった方がいいね、もちろん私の可愛い子孫に害を与えるつもりは無いけどね」


「・・・」


「理世ちゃんだって難解な魔法陣を見たら解析したくなるでしょ、魔法が通らない、でも何か対策出来ないかって・・・」


「でもこれ・・・凄く複雑だし膨大なダミー記述が組み込まれてるの・・・私も頑張ったけど解析出来なかったのに・・・美少女魔法騎士リベラちゃんは変態なのです・・・」


「あの魔法陣は博士の作り上げた最高傑作だ、芸術品と言ってもいい、人間の頭脳だけ使って解析しようとしたら数百年かかるかもね、でも地球の人間にはパソコンという便利な魔道具があるでしょ、それを使う発想は無かったのかな?」


「あ・・・」


「ふふっ・・・気付いたようだね、私の会社のグループ企業にソフトウエア開発に強い所があってね、数年前に作らせた物があるのだ・・・異世界魔法陣解析ツール、Mahou-Zin Ver4.2・・・欲しいかな?」


「うん!、欲しい!」


「では今度持って来てあげよう、USBでいいかな、あ、Windows専用だからMACには使えないよ」


「私のはWindowsだから問題無いのです!、それとさっきの疲労回復魔法陣、教えて欲しいのです!」


「いいよ、・・・但し条件付きだけどね」


「条件付き?」


「そう、これを使うといくらでも身体を酷使できる、でもそんな事は理世ちゃんにして欲しくない、極力使用を控える事、無理な仕事を抱え込まない事、この魔法陣は忙し過ぎて壊れてしまった心までは治せないからね・・・約束出来るかな?」


「・・・うん」


「それから今日予定していたセシルちゃんを連れて来るのは日を改めよう、疲労は回復しただろうけど、明日は一日寝ていた方が良い」


「うん、ごめんなさい・・・」


「あと・・・理世ちゃんが日本に持ち込んだ異世界生物の件だけどね、今度総理大臣に会いに行こう」


「え・・・」


「この前理世ちゃんが話してたでしょ、日本でいつか正体を明かすつもりだって、私はあれから日本で・・・正確に言うと日本の過去に干渉して騨志勝雄(だしかつお)総理にコネを作った、・・・理世ちゃんに質問だけど、2024年の・・・日本の総理大臣は騨志勝雄(だしかつお)で間違い無いかな?」


「うん、政治には興味が無いからよく知らないけど・・・この前ニュース番組に出てるのを見たよ、新しい総理大臣はイロモノ?だって言ってた」


「よしよし、良い感じに歴史が改変されているし、ローゼリアと日本を行き来している理世ちゃんの認識も書き変わっているね、・・・私の世界線が切り替わっただけかもしれないが・・・幸い他の歴史にもほとんど影響していない、大成功と言ってもいいだろう」


「何の話です?」


「いや、博士と少し時空転移魔法陣の実証試験をね・・・話すと長くなるからまた今度説明するよ、総理には気の毒だが私達の為に頑張って働いてもらう事にしよう」


「?」


「おっと、誰かこちらに近付いて来てるようだ・・・2人・・・魔力量が凄く多いね、今のローゼリア国王陛下と、理世ちゃんの父親かな・・・会うと面倒な事になるから私は消えるよ、じゃぁまたね・・・」


「待って!、陛下やお父様は信頼できる人なの、だから正体を明かしても大丈夫だと思う、私は美少女魔法騎士リベラちゃん・・・アメリア様の事を隠したくない!、陛下にも絶対他言しないって約束してもらうから!」


「・・・」


「・・・」


「・・・今までの長い経験から私は王族を全く信用していないのだ、国と私を天秤にかけた時、王は必ず私を切り捨てる」


「ぐすっ・・・アメリア様お願い」


「・・・」




バタン!


「リゼたん!」


「リゼちゃん!」


「あ、陛下とお父様・・・」


「倒れたと聞いたぞぉ!、リゼたん大丈夫かい!、医者は?、医者はどこに居るのだ!」


「・・・お医者様なら隣のベッドに・・・」


「ここか?」


シャッ!・・・


「あ・・・」


「あ・・・」


「あ・・・」


スヤァ・・・


お父様が隣のベッドの仕切りを開けると仲良く抱き合って眠る騎士団専属医師(筋肉モリモリマッチョマン)と、魔法騎士団長(筋肉ムキムキマッチョマン)の姿がありました・・・。


「魔法騎士団長殿は私を連れて騎士団本部を案内して頂いている時に気分が悪くなられたのでベッドに寝かせました、その後お医者様が転んで頭を打ち気絶、寝かそうとしたのですが空きのベッドが無かったので一緒に寝て貰いました」


「・・・君は?」


「私の・・・お友達で美少女魔法騎士リベラちゃんなのです!」


「そう!、私は美少女魔法騎士リベラちゃんなのだ!」


「は?」


「?」


「君は・・・凄い魔力量だね、肌がビリビリする」


「・・・」


「あの・・・陛下、お父様、実はこの人・・・」






「・・・というわけで、アメリア様は今まで歴代の王族の人達に酷い目に遭わされて、王族不審になっているのです、だから死んだ事にして、外見も変えて身を隠してたの」


「・・・」


「信じられない・・・亡くなったとされていた建国の大魔導士様が・・・それに先生が過去へ転移した時に救った少女が後の大魔導士様に・・・」


「いや、ドック氏も関わっていて本人が認めているのなら事実だろう、王家に代々伝わる書物には・・・建国と国の発展に多大な貢献をされた後突然失踪した、公式には死亡扱いとしたが別の世界に渡り生存されているようだと書かれている、それに今リゼちゃんが言った大魔導士様の容姿、白髪赤目の少女というのも王族だけが閲覧可能な文献に残っている」


すっ・・・


「おい!、エル!」


陛下がアメリア様の前に跪きました・・・。


「建国の大魔導士殿、歴代の王族が貴方に対し行った非礼、代表して私、第31代ローゼリア王国国王、エルヴィス・ディアマンテ・ローゼリアがお詫びします」


「・・・」


幻術を解いたのか、美少女魔法騎士リベラちゃんからアメリア様本来の姿に戻ります。


「頭を上げて下さい、陛下、謝罪を受け取ります、しかし・・・私はもう国に縛られる事無く、ただ平穏に暮らしたいのです、今の私は美少女魔法騎士リベラちゃん・・・それでよろしいですね」


「はい、今後お困りの事がありましたら王家ができる限りの事をさせて頂きます」


「この少女が・・・建国の大魔導士様・・・」


「お父様、日本で生きていた前世の私はアメリア様の子孫、今の私にとっては魔法の・・・2人目の師匠なのです」


アメリア様が陛下と向き合い、口を開きました。


「陛下、私は貴方に質問があります、理世ちゃん・・・リーゼロッテ・シェルダンの事です、彼女の才能は素晴らしい、だがそれを利用し負担を強いているように見えます、かつての私のように疲弊し心が擦り減るまで使い潰す気ですか?」


「いや・・・それは・・・」


「陛下が理世ちゃんを大切にしている事は知っています、そして理世ちゃんは陛下の事を信頼できる人だから正体を明かしても大丈夫だと私に言いました」


「・・・」


「歴代の国王陛下の多くは私に対して友好的でした、しかし国益と友情を天秤に掛け私を切り捨て犠牲にした・・・」


「・・・」


「恐らく陛下はこの先・・・王国と理世ちゃん、どちらを取るか選択を迫られた時、間違いなく国を優先させるでしょう、違いますか?」


「・・・そうなるでしょう、私には国民を守る義務があります」


「このままでは私の時と同じ過ちが繰り返されますね」


「ですが、どうすれば・・・」


「それを考えるのは陛下、貴方の仕事です」


「うむ・・・」


「ただ・・・一つだけ忠告しておきます、陛下や陛下の子孫がこの先私の可愛い弟子を便利な道具として使い捨てた時、私はローゼリア王国の敵になるでしょう、かつて私は厄災の悪魔と呼ばれていました、理世ちゃんほど優しくないですよ」


「わぁ・・・アメリア様が珍しく真面目な事を言ってる」


「理世ちゃん酷い!、私はいつも真面目だぞ!」


その後、私は寝てしまったのですが陛下とお父様は別室でアメリア様を交えて長時間お話をしていたそうです。


陛下達のお話が終わって私の寝ている救護室にお父様が迎えに来たのは夜中でした、お父様からは何故かギャラン大陸への物資と人員の転移が1日3回から1日おき、午後1回だけに変更になったと聞かされました。


アメリア様が陛下に言ってくれたのかな?、・・・あと何か大切な事を忘れてる気がするの・・・そう思いつつお屋敷に帰った私とお父様を待っていたのは真っ暗なお部屋で私へのプレゼントを抱えて泣いているお母様でした・・・。


「ぐすっ・・・リゼたん、それにパパも遅いの・・・私頑張って準備したのに・・・お料理冷めちゃったぁ・・・コナンきゅんも居ないの・・・」


「わぁぁぁ!、私のお誕生日会!、忘れてたのです!」


「す・・・すまんマリたん!、色々あり過ぎてすっかり忘れてた、コナンザもまだ日本に居るし・・・あ・・・明日の夜やろう!」


「わぁぁぁん!、2人とも酷いの!」

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