第161話 Side - 15 - 87 - でるまでまわすの! -

Side - 15 - 87 - でるまでまわすの! -



「私より遅く始めたのに何でもう砂漠を探索してるのよ!」


「ひぃっ・・・ご、ごめんなさい」


「リィンちゃん落ち着いて、コナンザが怯えてるのです」


「ごめん、別にコナンザくんを責めてるわけじゃないの、私やっと稲妻を出て次に進もうとしてる所なのに・・・」


「姫様・・・」


こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン15歳・・・もうすぐ16歳になるのです!。


今日はリィンちゃんが大陸横断ウルトラ巡業をもうやだ飽きたなどと我儘を言い出したので、慰める為に日本に連れて来ました。


ちょうどトリエラさんも宿のお部屋に居て暇そうに煮干しを齧っていたので「一緒に来る?」って聞いたら全力で頷いたからトリエラさんにとっては今日が日本初上陸!。


9年後の廃墟経由で2023年の私のお部屋に転移したらちょうどタブレットで原⚪︎をしているコナンザが居て、その画面を見たリィンちゃんが叫んだのです。


「だってぇ・・・」


リィンちゃんに続いてコナンザも私が遊んでいるのをやりたそうに見てたから少し遊ばせたらハマったのです、凄いな、大人気ゲーム、⚪︎神・・・。


「リィンフェルド殿下・・・」


「リィンでいいよ、コナンザくん、それに敬語も無しでね、原⚪︎は私もやってるの、一緒に探索しようよ」


「は・・・はい・・・じゃなくて、・・・うん」


「コナンザ・・・、リィンちゃんとトリエラさんじっと見つめてるけど気になるの?、えっちな服を着てるけどこれは「リーゼ」の宣伝の為なの、一応騎士団の制服だよ」


「やっぱりこれえっちなんだぁ!」


「やはりこれは・・・えっち・・・」


フルフル・・・


「リィンちゃんもトリエラさんも大丈夫だよ、コナンザは身体の形がはっきり分かる服を着た女の子が珍しいだけだよ、2人とも全然えっちじゃ無いから安心して「リーゼ」の広告塔お願いね」


「・・・」


「・・・」


「でもコナンザくんとリゼちゃんもレギンス履いてるよね」


「私はコナンザのお姉ちゃんだから対象外だよ」


「・・・」


「・・・」


「ところで、コナンザくん、誰が推し・・・っていうか嫁?」


「・・・僕はフィッシュルちゃん」


「あー、何となく分かるわ、持ってるの?」


「あぅ・・・ぐすっ・・・」


「わぁぁ、ダメだよリィンちゃん!、コナンザ持ってないの、私のを見て欲しがっちゃって、出るまでガチャ回そうとしてたから私がなんとか止めさせたの!」


「ご・・・ごめんねコナンザくん」


「いえ、気にしてない・・・よ・・・ひっく・・・リィン様は・・・持ってるの」


「・・・うん、一応」


「わぁぁん!、お姉ちゃん!、やっぱり僕ガチャ回すの!、出るまで回すの!」


「ひぃぃ!、コナンザだめぇ!」






「ふぅ・・・リゼちゃんとマルチやると捗るわ、全部やってくれるから楽だよね」


「リィンちゃん・・・本当にいい性格してるよね・・・」


もじっ・・・


「あの・・・リゼ様、私お手洗いに・・・」


⚪︎神をやってる私達の横で黙々とコーラやポテチ、ピザを貪っていたトリエラさんが話しかけて来ました。


そうだよね、2リットルのコーラ美味しいってほとんど一人で空けちゃったからなぁ。


「お手洗いは1階なの、案内するね」


「すみません」


「気にしないで、トリエラさんも一緒に原⚪︎やればいいのに」


「私、手先が不器用で・・・手元で細かな事をわちゃわちゃするのって凄く苦手で、「わーっ!」てなるのです、だから刺繍や楽器も全然ダメで・・・母にもお前はまるで男の子みたいだって・・・ぐすっ」


「わぁ、・・・ごめんね」


「いえ・・・」


ガチャ・・・


「ほらここだよ、便座の形はローゼリアのやつと大体一緒だからね、魔導具じゃないから流す時は魔力を使わなくていいの、ここを押すと・・・ほらお水が流れるよ」


「わかりました、ありがとうございます」


「それじゃごゆっくり、終わったらまた2階に来てね」


「はい」


バタン・・・






ガチャ・・・


「ほらリィン様、避けなきゃ」


「え・・・こう?・・・わぁぁ崖から落ちたぁ!」


「リィンちゃん・・・、もうコナンザと仲良くなってるのです、ローゼリアでは天井裏に影の人も居るしいつも人の目があるから気さくに話せないからなぁ・・・」






ガタッ・・・


「ひぃぃぃ!」


「1階から悲鳴?、お父さんかな、そういえば今日は休暇とって今季話題のアニメを一気に見るでござるーって言ってたかも」


とたとた・・・


「ガンスリのトリエラちゃんが拙者の目の前に居るでござるぅ!」


「”#$&+@_@/ー$!!」


「待ってお父さん!、この人はよく似てるけど違うの!」






「・・・と言うわけで、リィンちゃんの護衛のトリエラさんだよ、リィンちゃんと一緒に遊びに来たの」


ぺこり・・・


「そうでござったか、拙者ガンスリの13巻でトリエラちゃんが死んだ時、涙が止まらなかったでござるよ」


「お父さん!、それ以上いけない!、漢字・・・日本語の勉強だってお父さんのコミック借りてコナンザが読んでる途中なの!、今9巻を泣きながら読んでるの!」


「悪かったでござる・・・でも手遅れでござった・・・拙者は最低なネタバレを・・・」


「・・・え、お姉ちゃん、あのトリエラさんに似たトリエラって子・・・13巻で死んじゃうの?・・・ぐすっ・・・」


フルフル・・・


「わぁぁ!、コナンザ!」


そんな泣きそうな顔されたらみんな死んじゃうって言えないのです・・・。


その後私達は夕食にお父さんが買ってきた骨付鳥やお母さんが作ってくれたカツ丼を食べて再び私のお部屋に居ます。


「あー楽しかったぁ・・・今日はここに泊めてもらおうかなぁ」


「いいよ、座敷が空いてるからお布団用意しようか?」


「うん、お願い、トリエラさんもいいよね」


夕飯の後、私のノートパソコンを使ってBouTubeで時代劇を食い入るように見ているトリエラさんに話しかけました。


「トリエラさん?」


「・・・」


「ひ・・・」


「ひ?」


「姫さまぁ!、私、このかっこいい剣欲しい!」


目をキラキラさせて日本刀を欲しがっています、いや無理だよトリエラさん・・・。


ぱぁっ!


「うわ眩しっ!」


「理世ちゃん少しいいかな・・・って人がいっぱい居るぅ!」


「あ、アメリア様いらっしゃい」


「この姿でも分かったか・・・」


「うん、そんな馬鹿みたいな魔力量の人そう居ないって、しかも可愛いし」


「リゼちゃん、その人誰?」


「あ、えーと・・・」


「自己紹介しよう、私の名前はリベラ・ロリータ、理世ちゃんの・・・知り合いだ」


「うん、そうだよ、リ・・・なんとかロリータさん、私のお友達」


「(お姉ちゃんが言ってた建国の大魔導士様だ)」


「(わぁ、リゼちゃんが言ってた建国の大魔導士様?・・・だよね、転移して来てるし)」


「(・・・コーラ美味しい)」


「私のお部屋にこの人数はちょっと狭いから居間に移動するのです・・・」






「で、何か用だったの?、リ・・・なんとかロリータさん」


「リベラだよ理世ちゃん・・・」


「そう!、リベラさん!」


「いや実はね、探していたセシルちゃんが見つかったから報告しようかと思ってね」


「え、見つかったの!、大丈夫だった?」


リィンちゃんが身体を乗り出して話に割り込んで来ました。


「あぁ、王都の地下水路で暮らしてた、浮浪者風の男に助けられて、そのまま一緒に住んでいるようだ」


「ぎゃぁぁ!、だ・・・大丈夫なの?、その・・・乱暴されたり、いやらしい事されたり・・・」


「大丈夫だよ、幸いお人好し・・・いや善良な奴みたいで、セシルちゃんを保護して色々と面倒を見ているようだ、セシルちゃんは地下水路に住む子供達に文字や計算を教えて、その礼に食料を受け取って暮らしてる」


「連れて来なかったのです?」


「式神に居場所を探させて遠見の札で様子を見た、虐げられているようならすぐにでも助け出そうと思っていたのだが、予想外な事に本人は楽しそうだったのでね、これからどうするか理世ちゃんに相談しようと思って訪ねて来たのだ」


「早く足の治療をしないと・・・」


「そうだよね、でももうかなりの日数が経ってるけど」


「一時的にどこかに引き取って治療、それから後の事は彼女の希望を聞いて決めると言うのはどうだろう?」


「うん、それが良いかも」


「私もアメリア・・・じゃなかった、リ・・・なんとかロリータさんの意見に賛成なのです、治療は王都の私のお家にする?、あそこはお部屋が余ってるし、怪我が私の手に負えないようなら博士に来てもらわないとダメだろうし」


「そうか、向こうの時間で明後日の都合はどうだろうか?」


「うん、早い方が良いけど・・・お父様達には連絡しておくから」


「私が一人でローゼリアに居る理世ちゃんの家族に会うのは都合が悪いだろう、「お前は誰だ!」ってなるよね」


「あー、そうだね、セシルちゃんを見つけた私の知り合いって事にして私と一緒に行こうか」


「では決まりだね、明後日連れて来よう・・・だが一つ問題があって一緒に暮らしてる男がかなり強い、あれは魔導士だろうな、私の式神に向けて上級破壊魔法陣を起動させた、それにセシルちゃんがあの場所から離れるのを拒否した時に話が面倒になるかもしれない」


「拒否されるのは想定外だなぁ・・・」


「子供達相手に楽しそうだったからね、だが何とか私が説得してみよう、治療が済んで彼女が望むのならまた下水路に戻って来れば良いだろう」


「それでいい?、リィンちゃん」


「うん、私も謝らないと、それにお父様も謝罪がしたいって言ってた」


「あ、それからアメリア様」


「リベラだよ・・・、あぁもういいや、好きなように呼んでくれ、どうやら理世ちゃんは一度認識した人の名前を別の名で呼ぶのが苦手そうだ」


「実はね、デボネア帝国に居るリーシャって女の子、日本の・・・前世の記憶があるみたい、私の歌ってた鼻歌に反応したし日本語も喋ったの」


「・・・詳しく聞こうか」







「・・・という訳なの」


「むぅ・・・日本からの転生者でほぼ間違い無いだろう、一度会って話がしたいな、私の子孫の中の・・・誰なのか確認しないといけないし、向こうで酷い目に遭っていたのなら尚更だ、私をその屋敷に転移させてくれるかい?」


「向こうには騎士様がいっぱい居るよ、まずくない?」


「私を誰だと思っているのだ?、幻術を使って私が目の前を歩いていても騎士達に違和感を感じさせないようにできる」


「ちょっと待って!、その騎士様ってローゼリアの騎士団だよね、ダメだよそんな事しちゃ!、バレたら異常を見過ごした騎士達が罰せられるもん」


「わぁ・・・そう言えばリィンちゃんも居たんだった・・・騎士団長さんの話だと、今度通訳を連れて直接話を聞くみたい」


「ならその通訳として紛れ込もうかな、それくらいなら良いだろう」


「アメリア様デボネア帝国語できるの?」


「できるぞ」


「そうなんだ・・・」


「ただ・・・、その娘が日本に帰りたいと言ったら理世ちゃんはどうする?」


「首輪を嵌められて酷い目に遭ってたみたいだからできれば希望を叶えてあげたいなぁ、家族がこっちでまだ生きてるなら会いたいだろうし・・・」


「今まで例がないからなぁ、ローゼリアから転生者が日本に戻ったのだって理世ちゃんが初めてだ、その娘の性格も私はよく知らないし、私や理世ちゃんの事を話さないといけないだろう、私としては素性をなるべく明かしたくないのだが・・・」


「私はそのうち正体を明かさないと・・・、日本に戻る為に宇宙船を出して大事になっちゃったから、このままだと異世界の動植物を宇宙の生き物だと思って間違った研究するだろうし」


「放っておけば良いのでは?、優れた研究者なら宇宙のものではないと見抜けるだろう」


「ダメだよ、私が持ち込んだものを解析してる研究者さん達に申し訳ないよ、それに私のせいで宇宙開発が変な方向に向かうと嫌だし」


「うむ・・・少し考えさせて欲しい、理世ちゃんの事を世間に公表するとなると日本の政治家やマスコミ・・・いや世界中の権力者に根回しをしておかないと大騒ぎになるよ」


「そんなこと出来ないのです・・・」


「いや不可能ではない・・・あまり気は進まないのだが・・・」


「え?」

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