第115話 Side - 15 - 57 - とあるよるのかいわ さん -

Side - 15 - 57 - とあるよるのかいわ さん -



「どんな様子だ」


「奴はまだ自分の罪を認めてない、嵌められたって騒いでるよ、リゼちゃんが開発した声を記録する水晶を使った証拠もあるのにな」


「思ったよりも宰相派閥の影響力は広範囲だったな」


「あぁ、私も報告を受けて驚いた、こいつも・・・あいつもか!ってな、この連中が一気に謀反を起こしたらうちの王家も危なかったぞ」


「これからどうするんだ」


「人手不足だ・・・奴ら全員を罰する訳にはいかない、下手に恨みを買って更に反抗勢力が増えても問題になるからな、温情を与えて貸しを作って・・・頭が痛いな、それに他国に知られても都合が悪い、友好的に付き合って来た国でもそれは我が国の力が強大だからだ、弱体化したらそこを突いて来る国もいくつか出るだろう」


「・・・」


「やはり空席になった宰相は頼めないか・・・」


「・・・あぁ、ただ面倒だからって理由じゃない、宰相になると表に立たなきゃいけなくなるだろ、俺は裏の汚れ仕事もしてるし、それが表沙汰になるとまずい、どこから情報が漏れるか分からんからな、今まで通り宰相補佐が妥当だろ、誰か都合のいい人間を担ぎ上げて宰相の座に据えろ、そしたら俺が裏から動こう」


「すまんな・・・」


「まぁ国が潰れたらうちも困る、それにギャラン大陸も俺の方で独自に情報を集めてみたがやばいぞ、しばらくお前はそっちの方にかかりっきりになるだろう」


「それがあったな・・・身体が2つくらい欲しいよ」


「娘に頼んで転移させてやるから2倍働け」


「お前いい性格してるよな・・・知ってたが・・・そういえばギャラン大陸への転移の件はどうなってるんだ」


「娘はひどく行くのを嫌がってたが「説得」した、一度は現地に行かないと転移できないしな、それからここの王城と向こうの拠点、双方に魔法陣を設置する、向こうに目標になる魔法陣が無いと消費する魔力が100倍になるらしい」


「そんなに違うのか?」


「あぁ、娘の魔力量は多いが・・・ギャラン大陸は遠い、1日に何往復も、しかもお前や文官を連れて転移となると向こうに魔法陣が無いと3回くらいで枯渇するらしい、呪いを抑えるために普段膨大な魔力使ってるから転移に使えるのはそれくらいだそうだ」


「逆に言えば向こうに魔法陣置いておけば1日に300回いけるのか」


「・・・そんな回数転移させたら娘が泣くからやめてくれ」





「それから例の件、・・・囮役の子はまだ見つからないらしいな」


「容姿が似てる娘がいると聞いて依頼したんだが、その娘が実家で虐げられてたなんてな・・・リィンたん・・・娘がとても心配してる」


「それに関しては俺も同罪だ、うちの娘を囮に使うのに反対したからこんな事になった、俺が反対しなければその子を巻き込む事は無かった・・・」


「足を斬られてると聞いた、早く見つけて処置をしないと歩けなくなるってな・・・あの子は雇ってもらえる年齢になったら家から逃げ出してどこかの町で静かに暮らそうとしていたようだ」


「責任を取らないといけないな・・・実家の方はどうする?」


「他の貴族家の事情に王家が首を突っ込む事は出来ないが・・・どうやら両親は相当なクズらしい、どうせ娘がいなくなった責任を取れって王家に対して金を求めて来るだろうな、金で黙るなら当面は要求通り支払って、じわじわと周りから圧力をかけて経済的に潰そうか・・・と思ってる」


「潰したら見つけた時に帰る場所が無くなるだろ、どこかに養子として引き取ってもらうのか?」


「あぁ、だが決めるのはあの子の意思を聞いてからだな、もう貴族の地位に居たくないと思ってるかもしれないし、家族には何もするなって言うかもしれない、まずは探し出さないと・・・」











「・・・い、・・・嫌なのです!、ギャラン大陸怖い!、悪い人がヒャッハー!って汚物を消毒してる修羅の大陸なのです!、お父様私何か悪いことしましたか、罰ゲームなのですか?」


「いやよく分かんないけど先生も一緒だから大丈夫だよ・・・」


「博士一人で行ってもらうのです!、私に内緒で腕輪にあんな酷い機能つけた罰なのです!、行ってもらうのです!」


「いや先生は不老不死になってる最中で、魔力が安定してないんだよ、長距離の転移は座標?がブレて違うところに転移する可能性があるらしい、最終的には陛下を転移させてもらうんだよ、間違ってランサー大陸なんかに送っちゃったら大変でしょ」


「・・・うぅ・・・でも・・・ギャラン大陸・・・怖い・・・悪い野盗どもがヒャッハー!ギャランドゥ!って・・・」


「でもリゼたん腕輪があるから大丈夫でしょ」


「幼女趣味の変態に捕まって身体中を舐め廻されたら腕輪があっても気持ち悪いし涎まみれになるのです!」


「・・・リゼたん陛下が爵位やるって言われた時に泣いて嫌がったでしょ」


「当然なのです!、あんな面倒なものいらないのです!」


「でも今までの功績から、もう絶対に爵位与えないといけないところまで来てるって陛下が言ってたよ、それこそうちのシェルダン家と同格くらいの・・・」


「・・・嫌なのです!、爵位怖い・・・ぐすっ・・・」


「魔導ラディーオの開発、魔力増量法の発見、王女殿下を呪いの刃から庇って、呪いの刃についての論文を発表、空間と時空の転移魔法陣開発、・・・我が娘ながら凄い実績だ、特にあの呪いについての論文、・・・あれを読んだ国の医療チームが患部に強い魔力を加えると他の病気に対しても病状が改善する事を発見した、リゼたんのおかげでちょっとした医療改革が起きたんだよ」


「・・・」


「それに加えて今回リゼたんが囮になって宰相捕まったでしょ、あれ国家反逆罪でね、放っておくと国が潰れたかもしれないんだよ、だからリゼたんは国を救った英雄みたいな感じになってるっぽくてね、・・・宰相のあの大きなお家と領地、それに見合う爵位を陛下が・・・」


「あー!あー!聞きたくないのです!、私はただ魔法の研究をして地味にひっそりと生活したいのです!」


「だから今回ギャラン大陸に行って、陛下のお手伝いしてくれたらお父様がまた爵位を預ってあげようかなって・・・」


「・・・です・・・」


「え?」


「・・・仕方ないから・・・行ってあげるのです・・・ぐすっ・・・」


「じゃぁ明日から先生と一緒に出発してもらおうかな、短距離の転移を繰り返して移動するから5日くらいかな、すぐに旅行の手配するからね」


「・・・」

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