第97話 Side - 184 - 23 - けんじゃのおじさんにでしができた -

Side - 184 - 23 - けんじゃのおじさんにでしができた -



「おぉ、・・・あれからまだそんなに経ってねぇが懐かしいな・・・、すげぇ・・・一瞬でランサー大陸に来ちまった」


「・・・私の転移魔法はすごいのです!、もっともっと崇めるのです・・・痛っ!・・・おじさん何をするのです!」


「すまんちょっと手が滑った」


「うぅ・・・頭を叩くなんて酷いのです・・・」



俺の名前はベネット・ブライアス 39歳独身だ。


ランサー大陸で魔獣に襲われ死にかけてた俺を偶然助けてくれたガキは俺の家族の友人だった、初対面の時はもちろん奴は俺が友人の曾孫だとは知らなかったし、俺が助けを求めなきゃ放置して見殺しにする気だったそうだ、俺は本当に運が良かった・・・。


そして俺は奴に料理を教わる代償として怪我をした奴の身内をハンターとして指導する事になった、早い方が良いと奴が言うから今日初顔合わせにやって来た、・・・俺の怪我が治るまで過ごしていたランサー大陸のあいつの家に・・・。


「リゼお姉ちゃん、・・・その人は?」


俺が寝ていたベッドには奴と同じくらいのガキが居た、同じようなエロい服を着て、上半身を起こして窓の外をぼんやりと眺めてた・・・俺たちが転移して来たら驚いて怯えた顔をしやがったが・・・かわいそうに、右腕が無ぇな・・・。


「・・・この人は、ベネット・ブライアスさん39歳独身、金級のハンターだよ・・・私は賢者のおじさんって呼んでる」


「・・・っ待て!、その呼び方はやめろって言ってるだろ、あれは誤解だって説明したよな!、俺の事おじさんって呼んでるがお前の方が年上だろう!」


「一度定着した呼び方は・・・私の中では簡単に消えないのです、・・・私に対して失礼な奴や酷い事をする人は私の心の中では永久にうんこ野郎なのです、おじさんはうんこ野郎に値する事を私にしたのに、まだうんこ野郎って呼ばれてないだけありがたく思うのです!」


「・・・こいつ、喋らなかった時は大人しそうなガキだと思ってたが、・・・喋り出すと生意気でムカつく奴だな」


「私は好意的に思った人にしかこんな態度は取らないのです、気に入らない人は無視をして喋らないし、・・・おじさんはどこか・・・初代・・・タダーノおじさんに似た雰囲気があるから・・・」


「おい泣くなよ、・・・初代のタダーノと仲が良かったのは分かったから」


「泣いでないのでず、・・・ぐす、・・・それで、この子は私の・・・子孫?、甥の孫の孫の・・・孫なのです!」


「・・・すげぇな」


「アンジェちゃん、このおじさんにハンターの基本を教えてもらうようにお願いしたから、怪我が治ったら一緒に依頼を受けたり、・・・色々してね」


「・・・え、僕がまだハンター続けたいってお願い・・・叶えてくれるの?、・・・あ、あの、僕アンジェリカ・シェルダンって言います、金級のハンターと一緒に組んで、魔法使いとして後衛をやっていました、まだ怪我で動けないけど、・・・どうしてもハンター続けたいの、・・・命懸けで頑張るのでお願いします!」


「・・・ハンターなんぞ、命懸けでやるもんじゃねぇぞ、俺はこの大陸で酷ぇ目に遭って命が惜しくなったからもうすぐハンターは辞める、引退する前にこいつに頼まれたから引き受けただけだ、見込みがなけりゃ遠慮なくそう言うから覚悟しとけ、だが嬢ちゃん、なんでそんなにハンターにこだわるんだ」


「僕には自由が無かったの、ずっとお屋敷に閉じ込められて酷い父親に殴られて、それで逃げ出して、・・・路地裏でゴミを漁ってた時は生きるのに精一杯で、この間やっとハンターになって、これで僕は自由だ、これから相棒のジェーンさんと一緒に大陸中を冒険して、楽しい事いっぱいして・・・それで・・・って思ってたの、でも2人対等のパートナーになった記念のこの依頼でランサー大陸に来て・・・こんな事に」


「・・・」


「僕まだ何も楽しい事してない!、苦しかったけど頑張ったねって・・・そんな体験も全然してない、このままお屋敷に閉じこもって、メイドさんにお世話されて・・・一人じゃ何もできない身体で、・・・そんなの絶対にやだ!、僕は諦めない、まだハンター出来るもん、両腕が使えなくても魔法は撃てる、絶対頑張って一人で、誰のお世話にもならずに生活できるようになるの!」


「少し甘いが合格点だ、良い目をしてやがる、自分の尻が拭けるようになったら仕事に連れて行ってやろう、もうしばらくかかりそうだが・・・、できるだけ早くしろ、あまりグズグズしてっと俺は引退しちまうぜ」


「はい!、ありがとうございます、・・・師匠!」


「ハハハ・・・師匠か、・・・悪くねぇな・・・」




そしてしばらくアンジェと話をしてるとドアが開いて奴が入ってきた、手渡されたのは魔導書かよって言いたくなるくらいの分厚い本、奴が言うにはタダーノのレシピを150年以上研究し、その成果を書き残したものらしい。


そんな貴重なものを俺にくれるのか?、・・・そう聞いたら奴が言うにはこれは「コンヴィニデコピー」という魔法?を使って複製したものらしい、原本はまだ奴が持っていて日々研究を重ねてるそうだ・・・。


「おじさんしばらく忙しいと思うし、お料理の実力を知りたいから、時間がある時でいいのでそれを読んで、・・・自分で作れるかな?っていうのあったら作ってみてほしいのです、自分で納得できるものができたら私が試食して感想を言うのです」


「あぁ、分かった、今度試してみる、・・・だが俺がこんないいもんもらったら爺さん悔しがるだろうな」


「・・・サリー君にもお料理教える時に同じやつあげたのです、あの時からかなり書き足してる所もあるからまた今度コンビニでコピーして渡そうかな」


「あぁ、そうしてくれ、しばらくこれを爺さんと回し読みするよ、爺さんもあんな事言ってたが料理が好きな人間だ、またやる気になってくれたらしばらく元気でやれるんじゃねぇかな」


「サリー君は多分腰のヘルニアっていう病気だと思うのです、・・・ちゃんとした処置をすればまた動けるようになるし、今まで様子を見てたけど手術するほど酷くはないのです、・・・それからこれをおじさんにあげるのです」


「なんだこりゃ、板の上に・・・魔法陣?」


「私の家にお手紙を送るための転移魔法陣なの、・・・私に用がある時はお手紙を書いて魔法陣の上に載せると、このお部屋のそこにある魔法陣に転移して届くのです」


「すげぇな、返事もこっちに届くのか」


「私がお返事を書いて同じように転移させたらそっちに届くよ、直接おじさんがここに転移できるやつもあるけど、・・・私はおじさんは信用してるけど、・・・まだおじさんの性癖は信用していないのです、ここには今幼女が2人も居るから心配なのです」


「なっ・・・、俺は幼女に欲情する趣味は無ぇ!、俺の好みは巨乳の熟女だ!」


「はいはい、別に隠さなくてもいいのです、幼女趣味は不治の病だけど時々そういう人居るから、別に恥ずかしがる事はないのです、Yes!ロリコン、No!タッチなのです」


「だから違ぇって言ってるだろうがぁぁ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る