第90話 Side - 531 - 2 - るしるくん -

Side - 531 - 2 - るしるくん -



「・・・はっ!、せやぁ!・・・とぅ・・・、ほぁたぁ!・・・ひぃっ、・・・また負けたぁ・・・悔しいよぉ・・・」


僕は今、照魔鏡(ゴーグル)を付けて端末の前で戦っています!、負けたけど・・・。


「対戦ありがとう、楽しかったです・・・っと、送信!」


「あ、返信来た・・・「いえいえー、どういたしましてっすー、次もまた遊びましょう!」・・・か、どこの誰か知らないけど良い人みたいだね」


今若者の間で大人気の格闘ゲーム、白銀の大魔導士様が監修って聞いたから手を出したけどすっごい面白い!、運動になるし身体にも良いから!っておねだりして僕の2番目のお兄様、アンドリューお兄様に買ってもらったんだぁ。


人気すぎて品薄だから手に入るか心配だったけど、オーナーの一族には配慮してくれたみたいであっさりと手に入ったの、あ、オーナーっていうのは白銀の大魔導士様が製作商会に出資してるからうちの一族も顔が利くらしいの、そんなのズルじゃんって言われそうだけどね。


僕が今遊んでるのはセグゥワー商会から出てる最新格闘ゲーム「ホクトゥのファイタァ2」、自分が選んだキャラクターで戦うの、もちろん相手は実在して僕と同じゲームで遊んでるんだよ、凄いよね。


「グァチャァ」というくじ引きみたいな事をして手に入れた沢山のキャラクターの中から選んで強く育てるの、僕がいつも使ってるのはお気に入りの「ユゥリィアァ」ちゃん、本来はおっぱいが大きなキャラらしいんだけど、使ってる人の体型になっちゃうからぺったんこ・・・、でもこの方が動きやすくていいの!。


ゲームにお金を払う・・・「クワッキーン」っていう事をするとおっぱいも大きく出来るし、身長も変えられるけど、僕のお小遣いは領民の人達が一生懸命働いて納めてくれた税金、こんな無駄な事に使っちゃ絶対ダメ!、これは形のないデーターなの!、形の残らない物にお金を払うのはバカだってタニタさんも言ってたし!。


・・・それにしてもよく僕と遊んでくれるこの相手は相当やり込んでいるようでとっても上手、いつも使っているのは「トッキィー」っていう男キャラ、頑張って拳を当てようとしても全然当たらなくて受け流されちゃう、何でなの、・・・さっきなんて僕の「ユゥリィアァ」ちゃん、攻撃喰らって笑いながら爆(は)ぜたんだよ!。


「あー・・・疲れたぁ」


僕は照魔鏡(ゴーグル)を外して倒れ込んだベッドの上でゴロゴロ転がって対策を考えます、攻略本も出てるけど、自分の力で解決したいなぁ・・・。


初回登録特典でもらった石で引いたアイテム・グァチャァで手に入れた「リハァクゥの目」は装着してるのになぁ、これって星5つの最強アイテム、僕の持ってる中で一番レアなやつ、効果は「節穴の加護」っていう意味の分からない物だけど多分強くなってると思うの・・・。


そんな事を考えているとノックの音と同時にガチャリ、・・・とお部屋の扉が開き、僕の専属メイドのタニタさんがお茶とお菓子の準備をして入って来ました、ノックから入ってくるまでの時間早っ!、入っても良いって返事してないし!、僕が一人でエッチな事してたらどうするんだろ、・・・僕は・・・しないけどさ・・・。


「おやおやお嬢様お行儀が悪いですねまたそんなエッチな格好をして可愛いドレスやワンピースがあるのに何でわざわざそんな妙な格好をするのでしょう頭が沸(わ)いているのかもしれませんね私はとても目の保養になるので構わないのですがお屋敷内をその格好で歩き回られるのは流石にどうかと思います男性使用人達が目のやり場に困っていますよ痴女だと思われたらどうするのですかまぁ私は別にお嬢様がどう思われても構わないのですが」


すっごい早口で一息で言い切ったよこの人、・・・しかも無表情・・・。


「わーん、酷いよタニタさん、これは白銀の大魔導士様のお店、「リーゼ」の最高級女性用運動着だよ、「ヨッガレギーンス」っていうの!、同じ運動着の「イッモジャッジィ」より薄くて軽くて動きやすいし着ていて楽なの、それにズボンとか男物のお洋服着てたらお父様やお義母様がすっごく悲しそうな顔するから運動する時に着るものはこれか「イッモジャッジィ」しかないの」


「そうはおっしゃいますが四六時中寝る時もそれを着てるじゃありませんか、最近お外でもその服を着て歩いている姿が多数の使用人に目撃されておりますが、・・・せめて外出される時は「イッモジャッジィ」にしてくださいませ、しかもお洗濯に出される下着が汚れておりませんし匂いもしません、さては下着を履かずに直接そのいやらしい服を着ているのでしょうか、とんでもないド変態でございますねお嬢様」


「わぁぁ!、バレちゃった、・・・って何で僕の下着嗅いでるの!、・・・うぅ・・・でも、・・・女性用の下着、あれ履くの凄く恥ずかしいの、・・・フリルやリボン、・・・可愛すぎるっていうか・・・僕、一応元男の子・・・、どこかに外出する時は下着、・・・僕だって時々履くし、・・・お兄様のを借りてだけど・・・」


「女性用下着は恥ずかしいのにその服は恥ずかしくないとおっしゃる、・・・やはり少し頭がおかしいのではないでしょうかお嬢様、よろしければお医者様をお呼びしますが、・・・しかもお兄様方の下着を無断で拝借して、・・・って救いようがありませんねお嬢様、妹が自分達の下着を盗んで履いていると知ったらさぞドン引きされるでしょう、・・・あ、アルベルト様はご存じの様子でしたね、「妹が時々僕の下着を盗んで履いているようだ、タニタちゃん取り返して来てくれるかな」とおっしゃられておりましたので」


「ぎゃぁー!、お・・・お兄様にバレてたの?、嘘!、嫌だ、・・・僕まるでド変態じゃん!、うぅ・・・恥ずかし過ぎる、・・・それにしても相変わらず言葉のキレが鋭いなぁ、・・・タニタさん・・・、もうちょっと、僕に優しく・・・」


「まるでじゃなくてお嬢様は本物のド変態でございます、それに優しくしていたらお嬢様は私のありがたい忠告を全く聞かないじゃないですか、だから不本意ですが心を鬼にして言っているのでございます、私がこのお屋敷に雇っていただいた当初、無表情で無口、愛想が無いと怒られて泣いていた時にお嬢様だけは「もしよかったら僕の専属メイドになってよ」と言ってくださいましたよね、とても嬉しかったし感謝しているのですよ、だからお嬢様が間違って道を踏み外さないようにですね・・・」


「あーはいはい、分かったから、それよりお茶冷めちゃってない?」


「・・・チッ、・・・失礼しました、お部屋に入るなりお嬢様がベッドの上でとてもエッチな服を着て転げ回っておりましたのでお茶の事が頭から抜け落ちておりました、お湯を交換して参りますので少々お待ちくださいやがれです」


「いやもう冷めててもそれでいいよ、僕今運動してたから熱いのはちょっと・・・」


「・・・あ?、お嬢様は私の完璧な温度管理と卓越した技術で淹れる最高の茶が飲めないと?」


「いえ!、何でもないです!、どうぞ、お湯を交換して来て・・・」


「かしこまりました」


バタン・・・


「・・・ふぅ、・・・タニタさん、・・・今日はよく喋る、何かいい事でもあったのかな?、無表情でそっけないからタニタさん誤解され易いんだよなぁ・・・、本当はすごく優しくて思いやりがあって、可愛い人なのに、よく見てたら表情も・・・、あ、これは嬉しいんだな・・・、おや、今日は機嫌が良い・・・、って分かるのに、・・・フフッ・・・」


「お待たせいたしましたお嬢様」


「うひゃぁっ!、・・・いつの間に!、ってか早っ!、もうお湯交換してきたの?、ひょっとして今の聞かれてた・・・」


「はい、しかとこの耳で聞いておりました、実はお部屋の外に出てから魔法で沸かし直したらよいのではないかと気付きまして、お部屋の外で沸かし直して気配を消してお嬢様の背後に・・・」


「・・・わぁ!、怖いよ!何で気配を消す必要あるのさ!、暗殺者じゃあるまいし!」


「お嬢様を驚かせるのは私の数少ない趣味でございますので、・・・おや、股間が少し濡れておりますね、驚いてお漏らしあそばされたのでしょうか?」


「・・・ち、違うもん!、これは汗!、今まで運動してたから汗なの!」


「・・・そういう事にしておきましょう、だから下着はきちんと着用された方がよろしいかと・・・、いえ、その量ですと例え下着があっても意味がなかったと推測できます、・・・おっと失礼いたしました」


「わーん、タニタさんが酷いこと言うの・・・、僕おちんちんが無いから他の人より我慢できないの・・・ちょっとした事で漏れちゃうの」


「さてお茶が入りましたよお嬢様、さっさと飲みやがれです」


「・・・あれ、冷たいお茶だ、・・・よく冷えてて美味しい!、・・・あ、さっき僕が言った事、・・・気を遣ってくれたんだね、ありがとうタニタさん!」


「か・・・勘違いしないでくださいませお嬢様!、先ほど改めて今日の気候と室内温度、お嬢様の顔色を確認して体調を推測、それらを考慮した結果、熱いお茶より冷たいものの方が好ましいと判断したまでです!、得意じゃない氷魔法を使ったので思うように冷やせなかったのですが、・・・お嬢様にはこれで十分なのでございます!」


「そういう事にしておくよ、本当に美味しいなぁ、・・・いつもありがとうね」


「・・・」


タニタさんは耳まで赤くなって俯いてフルフルと震えています、本当に可愛い人だなぁ、でもちょっと仕返しし過ぎちゃったかな・・・。







「そういえばお嬢様、お昼からのご予定は外出となっておりますが・・・」


「うん、ちょっと図書館までね、借りてた資料を返して、また面白そうなもの借りるつもり」


「ではお風呂に入って行かれた方がよろしいかと、すぐに準備いたします」


「え、何で?、僕そんなに臭いかな?」


僕は思わず自分の腋や腕の匂いを嗅いじゃった、やだ、自分では気がついてないけど実は臭かったらどうしよう・・・。


「いえ、自分で嗅がなくてもお嬢様はいい香りです、そうでは無いのですが、先ほどお漏らしを・・・」


「あー、それなら・・・「ホット・ロッキン!」、ほら渇いたからもう大丈夫・・・、って何でそんな残念な子を見るような目をするのさ!」


「失礼します・・・」


「わっ、・・・ちょっとタニタさん?・・・」


すうぅぅー、はぁー


いきなりタニタさんが僕に抱きついてきて、最初に首筋・・・次に胸に顔を埋めて深呼吸・・・、それから・・・


・・・すー、はー、すー、はー、すうぅぅー、はぁー


「わぁー、ちょっ・・・ちょっと待って!、やだぁ!、いやぁーっ!」


ソファに座ってる僕の股間の匂い嗅がないで!、タニタさんの肩を掴んで引き剥がそうとしたけど・・・僕って非力だから力じゃ敵わない・・・。


「この汗臭さと香ばしさ、・・・お嬢様、この服は・・・4日間洗わずに同じものを着用されていたと推測しますが」


「びっくりしたぁ、・・・いきなり何するのさタニタさん、・・・う・・・うん、確かにそうだけど、・・・なんで分かったの?、・・・いやちょっと怖いから詳しい事は聞きたく無いけど・・・」


「着替えてください!、仮にも貴族のご令嬢が4日間着続けた、・・・しかもお漏らしして乾かした服のまま下着も着けないで外出しようとなさらないでくださいませ!」


「えー、いくら僕でも人がいっぱい居る駅を歩いたり魔導列車に乗ったりするから上にイッモジャッジィくらいは履いていくよ・・・」


「頭は宜しいのにとても残念なお嬢様、お願いですから私の言うとおりにしてくださいませ、さもないと、残り2人のお兄様方や旦那様に下着の件を・・・」


「わぁー、言っちゃダメ!、入る!、お風呂入るから!」






ちゃぷ・・・


「ふぅ、お風呂は毎日入ってるのに・・・服は、あまり洗ってなかったなぁ・・・替えは4着持ってるけど、・・・なんか面倒だったし」


そんな事を呟いていると、扉が開いてタニタさんが入って来ました(もちろん服を着てるよ!)、これはいつも通り、僕の背中を流してくれるの。


「お嬢様、最近さらに女性っぽくなられましたね」


お湯をかけて背中を流してくれてるタニタさんがそんな事を言いました。


「不思議なんだよねー、元は男なんだから骨格は男性だし、・・・でも最近身体が丸みを帯びてきたんだよねー、・・・胸は・・・当然小さいけど、・・・なんか全体的に女の子っぽい感じになって来たし・・・」


「定期的に打たれている注射やお薬のせいでは?」


「あー、そうかも・・・、でも本当にお父様やお義母様、・・・僕の身体を本物の女の子みたいにしようとしてるのかな?、・・・詳しい事は成人・・・15歳になってから全部話すって言われてるの、・・・でも何か嫌だな・・・考え方や、気持ち的には僕って・・・男の子に近いの、・・・でも大事に育ててくれた家の為に、みんなの希望通り女の子に見えるように頑張って振る舞ってはいるんだけど、・・・でも女性として、男の人と恋愛や結婚なんて絶対無理!、考えただけで気持ち悪くて鳥肌が・・・」


「そうですか、でもお嬢様は下手な女の子より女の子に見えますが」


「それは僕が努力してるから、僕にとても優しくしてくれるお父様やお義母様、お兄様達を喜ばせたいから、お勉強もマナー教育もすっごく頑張ったの・・・、でも心の中では反抗したい気持ちもあって・・・、だから自分の呼び方は「私」じゃなくて「僕」だし、スカートは家族が見てないところではできるだけ履きたくないの」


「それは分かりますが・・・、着ている服を何日も洗わないっていう事とは話が別になります、これからは毎日着替えてくださいませ」


「うーん、・・・努力します?」






「じゃぁ行って来まーす」


エテルナ・ローゼリア王国旧王都にあるシェルダン家のお屋敷、家が大きくなるたびに増改築を繰り返して来たけど3階建ての築600年以上を誇る大豪邸、王城と並んで国の重要文化財にも指定されている旧王都の観光名所。


今日もお屋敷の周りには沢山の観光客、・・・遠くて僕のお部屋からは見えないけどね、今から僕が向かうのはここから魔導列車で半日ほど走った所にある巨大都市、新王都、ネオ・ローゼリア。


上級貴族の家にのみ設置が許された魔法転移システムを使ってネオ・ローゼリア中央駅、転移中継室に一瞬で転移、そこから1区画ほど離れた王立、新王都大図書館が今日の目的地なの。


「お嬢様!、ボクは初めましてですね、今日護衛を担当するアーシア・ブルナカノンって言います!、どうぞよろしくです!」


「わぁ・・・ボクっ子だ、・・・人のことは言えないけど・・・、よ・・・よろしくお願いします」


僕が外出する時には必ずシェルダン家の騎士を1名護衛として同行させる事、これが僕が自由に外出できる条件、お父様との約束です、そして今日お家の転移室に現れたのは小柄な女性騎士様、ブルナカノンといえば我が家に代々仕えてくれている武の名門、でも・・・強そうには見えないな・・・。


「アーシア、命に換えてでもお嬢様をお守りするように」


地を這うような低く威圧感のある声で話すのはカイオーウ・ブルナカノン様、いかついお顔に大きな身体・・・上級貴族、ブルナカノン家の現当主でシェルダン家騎士団長・・・。


「まかせるっすよお父様!、きっちりお勤め果たすっす!」


「お嬢様、こいつはまだ新人だが俺が鍛え上げた娘で腕は確かです、だが食い物に目がなくて屋台を見つけるとふらりと居なくなっちまう、しかし今この時よりお嬢様の護衛です、昨日も散々言い聞かせました、もしそのような事が万が一にでもあったら私に言ってください、帰ってから足腰立たなくなるまで痛め・・・いや、弛んだ根性を叩き直しますので」


「・・・はい、ありがとうございます、ではいきましょうか」


「了解っす、ボクの事は気軽にシアって読んでくださいっす!、あと敬語は必要ないっす!」


「うん、よろしく、シアさん、・・・僕もお母様にはシアって呼ばれてるんだよ」


「じゃぁ同じ僕っ子のシアちゃん同士、仲良くしましょうっす!」


転移魔法陣のあるお部屋に入り、行き先を設定、新王都ネオ・ローゼリア中央駅内転移中継室・・・っと。


膨大な魔力を必要とする転移魔法陣に改良を重ね、2つの魔法陣の間を行き来する技術、この魔法転移システムを開発し、転移網を構築したのが白銀の大魔導士様、それからその師匠の狂乱の大賢者様。


国の英雄にして最高戦力のお二人、普通なら良い暮らしをしてのんびりと毎日を過ごしても許される立場なのにまだ国の発展に多大な貢献をされているの、・・・あぁ、憧れるなぁ、尊敬しちゃうなぁ・・・。


それにこの魔法転移システムの大元は新王都の転移管理室にあって、そこに白銀の大魔導士様が定期的に訪れて魔力を供給しているの、だから白銀の大魔導士様が居ないとこの転移網はうまく機能しない・・・。


最近ではそれじゃダメだっていう事で民間の魔力量が多い人達を雇ったり、お金を払って魔力を提供してもらったり、さまざまな工夫をしていずれは下級貴族、そして平民の人達にもこの魔法転移システムを使ってもらおうと日々改良を重ねているの、その中心にいるのも白銀の大魔導士様!。


僕とシアさんの2人は魔法陣の上に立ち、そして魔法陣を起動、一瞬で視界が切り替わってここはもう新王都のネオ・ローゼリア中央駅、その中にある転移中継室、この駅は大陸魔導鉄道の中心地で毎日沢山の人々が行き来する場所・・・。


「ボクこの駅の転移中継室来たの初めてっす、広くて魔法陣が沢山並んでるけど人居ないっすね」


「せっかく作った魔法転移網だけど、上級貴族ってあまり駅を利用しないからね、この転移中継室もいつも人が居ないんだ、たまーに避暑地に列車でのんびり向かう家族連れと護衛が出てくるくらいかな、でも下級貴族の人達にも普及したらこの駅ももっと混雑するかもね、今の新王城って混雑して転移待ちが出てるでしょ、・・・ここがあんな風になったら僕困るんだけどね、よく利用するから」


「へー、そうなんっすか、よく分かんないっすけど」


今の僕の格好はイッモジャッジィの上下にTシャツ、イッモジャッジィのズボンの下は下着がわりのヨッガレギーンス、それから借りてた本や資料を入れた背負うタイプのリュック、髪は後ろで束ねてるから男の子に見えるかも、右手首には身分を認証する魔法陣が刻まれた腕輪、これを持ってないと転移できない仕組みになってるの。


シアさんは剣を持って騎士団の軽装の制服、着崩してるのでぱっと見ハンターにも見えなくもない?格好、うん、あまり目立たない2人組だね、大柄な騎士様が護衛だと悪目立ちするんだよねー。


「ねぇシアさん、これから魔導列車に1駅乗って大図書館に向かうんだけど、お嬢様呼びは止めて欲しいの、ここでは僕、男の子ってことにしてるんだぁ、だから僕の名前はルシルだよ、それからお家のみんなにはこの事内緒にして欲しいの、良いかな?」


「了解っす、何か訳があるんっすよね、大丈夫っす」


「ありがとう、お礼と口止め料として帰りに肉串を買ってあげよう、駅の外に美味しい肉串屋さんがあるんだよ」


「やったぁ、ルシルくん大好きっす!」


「わぁ、こらこら抱きつかないでー」


さぁ、お休みの日に僕が1日のほとんどを過ごしている新王都大図書館に行こうか!。

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