第18話 Side - 184 - 6 - またおもらしをしてしまいました -

Side - 184 - 6 - またおもらしをしてしまいました -



こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン184歳でございます。


うぅ・・・、今日は2回もお漏らしをしてしまいました、でも私は悪くないのです!。


どこまでお話ししていましたっけ?、あ、そうだ、私がお風呂に入ってお漏らしをした服を洗濯した後の話でしたね。


お風呂から出た私は台所と実験室を兼ねたお部屋でおじさんの為にお料理を作りました、結構な自信作で美味しく出来たと思うのです、私は元々料理が得意じゃなかったのですが100年以上お料理を練習していると誰でも上手に作れるようになるのですよ。


あれからおじさんは部屋から出て来ません、無事に賢者になれたのでしょうか?、あそこは私の寝室なのであまりお部屋を汚して欲しくないのですが・・・。


ドアを少し開けて中を覗くとおじさんが居ました、寝てるのでしょうか?、そう思っているとおじさんが目を開けてこちらを見ました、怖いのです!。


慌ててドアを閉めました。


また少しドアを開けておじさんを見ていると目を開けてこちらを睨んでいます。


まだおじさんの心の中では私への欲情が消えてないのかも・・・、そうなのです、きっと心の中で天使と悪魔が壮絶な戦いを繰り広げているに違いありません、もし悪魔が勝ってしまうと私は襲われるのでしょうか。


私ではおじさんの力になってあげることはできませんが応援しましょう、おじさん頑張れ!。


応援しながらおじさんの様子を見ていると、急に起き上がり、今まで見た事がないような笑顔をして、優しい声で私に言いました。


「おじさんとおはなしをしましょう」


勝ったのです!、おじさんの中の天使が悪魔に勝ったのです!、おじさんは私への欲情を押さえて賢者になったのです。


扉を閉めて私は心の中でおじさんに拍手を送りました。


まだおじさんと話すのは怖いのですが早くしないと私の自信作のお料理が冷めてしまうのです。


顔を合わせなければ大丈夫なので扉を開けて手招きをしました。


おじさんがこちらに近付いてきます。


実験室に上手く誘導しなければいけません、顔を合わせずにできるでしょうか?。


上手くできたのです!、部屋の中でおじさんと顔を合わせるのは怖いのでおじさんが部屋に入ってくる前に転移魔法陣で一度シェルダン家にある私のお部屋に戻ってすぐにまたこの廊下に転移したのです。


おじさんがテーブルの上に置いてある私のお料理を嬉しそうに眺めています、早く食べないと冷めてしまいますよ。


「・・・食っていいのか?」


何を言っているのでしょう、おじさんの為に作ったのだから良いに決まっています、私は頷きました。


「・・・食うぞ」


また聞かれました、良いと言っているのに遠慮しているのでしょうか、きっとおじさんはとても謙虚で礼儀正しい賢者さんなのですね。


私がもう一度頷くとすごい勢いで食べ始めました、お腹が減っていたのでしょう泣いています、そうですか泣くほど美味しいのですか、頑張って作った甲斐がありましたね。


しばらくすると食事を終えたおじさんが私に言いました。


「こっちに来て座ってくれないかな、おじさんとお話をしよう、大丈夫おじさん何もしないよ」


とても難しい事を私に要求してきました。


今私は部屋の隅で賢者のおじさんと向き合って座っています。


距離が近いのです!、怖くて震えが止まりません、あ、また涙と鼻水が出てきたのです。


おじさんの要求どおり、隣の部屋から椅子を持ってきて私が部屋の隅に座るとおじさんが近づいて来ました。


何で私に近付いて来るのでしょう、そんなに広い部屋じゃないのだから食事をしていた場所に居てもお話し出来るじゃないですか。


私の目の前に座っておじさんが何か喋っていますが怖くて話が頭に入って来ません。


ちらちらとおじさんを見ると何故か私の太ももを凝視しています、やはり賢者のおじさんは幼女に欲情する変態さんなのですか?。


「いやなんか言えよ!」


怒られました、怖いのです!、何でご飯を食べさせてあげたのに怒られないといけないのでしょう!。


「ひうっ」


思わず声が出てしまいました、でもここで泣くとまたおじさんの話が入って来なくて怒られてしまいます、泣いちゃダメだ泣いちゃダメだ泣いちゃ・・・・。


「喋らなくていいから聞いてくれ、俺は金級のハンターだ、依頼を受けてランサー大陸の魔の森にあるローゼリア王国の前線基地を調査に来た」


ローゼリア王国の関係者だったのですね、早く言ってくださいよ、では王都に転移魔法陣で送ってあげるのです。


あ、待って、もしかしたらおじさんはローゼリア王国の敵で基地?、に悪い事をしようと調査に?、それだと王国に勝手に送ったらまた国王陛下に怒られるのです。


今の代の王様は少し怖いのです!、おじさん自分の足で帰ってくれないかなぁ。


でも、おじさん口調が変わったのです、まさかまたおじさんの中の悪魔が天使に襲い掛かっているのですか?、賢者モードは時間切れなのですか?。


「ヤバい魔物がごろごろ居やがってな、逃げてるうちに森で迷った」


ええ、ええ分かりますよ、ここの魔物って体格良いですよね、私も身体の周りに防御結界を張ってないと瞬殺されるのです。


シルベスター叔父様は「流石に手応えがあるね、でも良い値段で素材が売れるんだよね」って言ってましたけど。


「死にかけてたところにお前が出てきた、お前が助けてくれたんだろ?」


はいそれ私です、怖かったから帰ろうかと思ったのですが賢者のおじさんが「助けてくれ」って言ったから助けたのですよ。


「俺は前線基地に戻らなきゃならないがこの足だ、まともに歩けねぇ」


見れば分かるのです、早くおじさんのお家に帰った方がいいと思うのです。


博士が完璧に治療してくれたから自分の家で安静にしてれば大丈夫だと思いますけど、前線基地というのはちょっと分からないのです、そんなのありましたっけ?。


「あの魔物どももヤバすぎる」


ヤバいですね、だからこそ人が来なくて私には居心地がいいのです、森の中央に行くほどヤバいのがいっぱい出るのですよ。


「ちなみに俺は今居るここがどこかも分かっちゃいねぇ」


えーと、ランサー大陸全体に広がってる魔の森のちょうど真ん中あたりでしょうか、おじさんを拾ったのは北の端ですね。


大陸の地図や模型を作ってあるので後で教えてあげるのです、私の趣味なのですが自信作なのですよ。


「だが2日後にあそこに戻らなきゃ大事になる」


おじさんと私が会ってから6日経ってますけど、大事になるのなら今私が勇気を出して教えてあげなきゃダメですね。


・・・あ、ダメだおじさん怖いから声が震えるよぅ・・・。


「すまんが聞こえなかった、もうちょっと大きな声で喋ってもらえないか?」


おじさんの顔が怖くなったのです、これは怒られるやつなのです!。


「・・・・ぁ・・・なたにぃ・・・・・・ぁっ・・・・・てえ・・・・今日で・・・6日目ぇ・・・・・ひぅ・・ふぇぇ・・・」


おじさんが怖くて声が震えるのです!、涙がまた出て来たのです!。


そういえばずっと緊張して震えてたからおしっこに行きたくなってきたのです、お話しはまだ続くのでしょうか?、少し休憩を入れたいのですが・・・・。


「なんだってぇぇ!!」


賢者のおじさんがまた私を襲って来たのです!、驚いたのです!、怖いのです!・・・・あう・・・。


しょわわわぁ


ほかほかぁ・・・


「・・・ふぇぇ・・・・・えぐえぐ・・・」


やっと涙が止まりました、酷い目にあったのです、後でシェルダンのお母様に会いに行って頭をよしよしして貰いましょう。


お風呂に入りながら先ほどのおじさんの奇行を思い出しています、私はまたお漏らししてしまったのです、あのお部屋は絨毯だから掃除が大変なのに・・・。


怖くて目を瞑っていたのですが、結局おじさんは叫んで立ち上がっただけで私に何もしてきませんでした。


おじさんは何故か膝から崩れ落ちて両手を挙げて天井を仰いでいました、あれってまるで理世のお父さんの持ってるDVDで観た戦争映画でヘリに置いて行かれた人みたいでしたけど・・・。

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