第14話 アリの計算機

 アリが計算機(コンピュータ)を使っているとしたらどう思うだろうか。

 アリの巣の中に計算機があるかもしれない。アリの種族の中に計算機を使うものたちがいるかもしれない。

 計算機を使うアリがどれだけの巣を構築しているのか人類には未知だ。

 人類はアリの使う計算機を計算機であると解明することができるだろうか。

 その巣に住むアリたちは、計算機を使って文明を構築している。デジタル作業は賢いので、そのアリの仕事はすごく賢いだろう。デジタル処理は論理的に考える参考になるので、そのアリの知性はとても高いだろう。

 アリたちも技術的特異点に怯え、人工知能との戦いに備えている。

 中には、ラッダイト運動を行うアリたちもいるだろう。誰もが計算機に従えるわけではない。

 計算機を使う巣のアリは生産性が向上して、他の巣のアリたちを魅了するようになる。他の巣の働きアリが、雄アリが、女王アリが、計算機を使うアリの巣に憧れるようになる。

 そして、計算機を使う巣の働きアリが大人気になった後、やがて、女王アリみずからが計算機を使うようになり、計算機を使う女王アリの子孫が地上で拡大するのだ。

 アリたちは、計算機のうわさ話ばかりをするようになり、計算機のある巣が伝説の聖地となる。

 やがて、コンピュータゲームの廃人となった働きアリが退廃的に愚痴り出し、世界のむなしさを語るようになる。

 知れ。人類が動物たちの使う計算機の何種類を知っているというのか。

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