予定・未定・仮定

「俺の兄貴ってあんまりこの世に向いてなくって、大学出て就職までは頑張れたけどそれ以降はどうにも駄目で俺んちで家事手伝いみたいな感じで静かに生きててくれるんだけど、季節の変わり目になると、思い出したみたいに慌ててぶら下がろうとしたり飛ぼうとしたりして一通り失敗してまた静かになるし、そんな感じでもう何年も凌いでるんだけど、逆にこれまで元気でまた一緒にライブ行こうなって約束した友達が先月電車に飛び込んだりして、もう何にも分かんなくなってんだよね、俺」と先輩は煙草片手に黒々とした目を細めてみせるのだけども、とりあえず俺はしばらく死ぬ予定はないとでも答えるべきなのかを悩みつつ燻る紫煙を見つめている。

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