後始末

 些細な不注意と手違いで家飲みに来ていたバイト先の先輩を殺してしまい、実家の兄を呼び出し手伝ってくれと泣きつき二人で地元の山に埋めてから三年が経つが、相変わらず月命日の夜になると、生前よく喫煙所で見かけたときのように煙草を咥えた先輩が「何となくで殺されるとこっちも具合が悪いんだよ」「埋めるにしてもせめてお前ひとりで埋めてくれればよかったのに」「それくらいしか後悔もないんだよね俺」と紫煙を燻らせながら少しばかり拗ねたような顔で夢枕に立っては朝までだらだらと恨み言交じりの雑談を喋り続けるので、いっそ要望通りに掘り返してから兄の力を借りずに一人で埋め直すべきなのかもしれないと俺は真剣に考えている。

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