贖罪:分割前払い対応

 バイト先でシフトがよく重なる後輩は、喫煙所で会うと煙草を分けてくれるし休憩時間に缶コーヒーを奢ってくれたり雑談の中で好きだと言ったバンドの廃盤になったアルバムを出先で見かけたからと買ってきてくれたりするので、お前なんでたかがバイト先の先輩なんかにそこまでしてくれんのと家飲みの最中に尋ねたところ「罪滅ぼしと前払いって感じですかね、多分」と四缶目のストゼロを手にしたまま黒々とした目を鎌の刃のように細めるので、更に踏み込むべきかどうかを迷いながら、俺は先程後輩から押しつけられた馴染みのない銘柄の一本を咥えて火を点ける。

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