捕食・被食・悪食

 バイト先の吸血鬼の先輩は仕事もできるし顔色に反して愛想はいいし細かな気配りもできるのだが、最近ではバイト仲間の学生のツテで大学のサークルの飲み会に紛れ込んでいるらしく、家飲みの際に理由を尋ねれば「好みなんだよね」と笑ってから「若者が自分の限界も分からずに飲んだくれたアルコールと、雑な食生活と自堕落な生活が反映された血の味が最高なんだよ」とまだ半分は残っているであろうビール缶を片手に危うい呂律で白状したので、吸血食事の趣味は悪いんだなとかこの調子で飲み会でも全部白状してるんだろうなと思いつつ、飲んだくれの血が好みなら俺の血じゃ駄目なんだろうかとコップの日本酒を啜りながら考えてしまう。

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