欲しがりません生えるまで

 サークルの後輩がことあるごとに首を欲しがるので、お前は知らないかもしれないけど人間は首をもぐと生えてこないんだよと諭したところ、何でですかと問われた上に「慣れればいけますよ、井田さんはできたって聞きましたよ」と詰め寄られ、井田さんって誰だと思いつつはぐらかしていたのだけども、年末に飲み会で潰れた際に後輩の家に連れ込まれてしまい、ブルーシートの上で目を覚ませば頭の横に置かれた自分の生首と目が合い、そのまま首が視線を逸らしたので驚いていると「我慢できなかったのは申し訳ないんですけど、先輩やればできたんですね」と鋸を手に後輩は笑っていて、俺は生首が溜息を吐くのにつられるように頭を抱える。

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