言い掛かり・手掛かり・行き掛かり

 半年ほど音信不通だった上に久々に顔を見せたと思ったら左手の指を二本も失くしてきた叔父に事情を聞こうとするが、のらりくらりとはぐらかされるばかりなので、その態度に腹を立てた俺が掴みかかり押し倒しても「お前は小さい頃もそうやって癇癪起こしてたね」と黒々とした目を細め、殴りつければ「見えるところを殴るだけ兄さんよか優しいな」と血の滲む口の端を吊り上げるばかりなので、この人はどうすれば目の前にいる俺のことを正面から見て話をしてくれるのだろうかと、夏の日射しに灼けた仏間の畳の上で押さえつけた肩の薄さと骨の感触に目眩を起こしそうになりながら、その生白い喉元に手を掛けようかどうかを迷っている。

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