火曜の兄は心配性

 後輩の家を訪ねたところ、開いた扉からスーツの男が顔を出し弟はすぐ戻るから上がってくれ不出来な弟だがよろしく頼みます、と頭を下げて出て行ったので、言われた通りに待っていると後輩が戻ってきたのでお兄さんいるんだなと聞けば「俺一人暮らしですし兄も弟もいません」と答えてから「あれ火曜日の兄さんなんですよね」と言って何事もなかったかのように炭酸飲料を渡してきたので、さすがに問い詰めると「なんか鍵かけずにいたら兄だってやつらが出入りするようになって、どうも週ごとにローテーションがあるっぽいんですよね」と面倒そうに言うのでどう返すべきか分からず、俺は男の右目元にあった黒子のことを思い出している。

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