寿命に火を点けて

 母と父の浮気相手が心中と相討ちの中間のような死に方をしたのが去年のことで、それから一緒に住むようになった腹違いの兄は拍子抜けするくらいに普通のいい人で、何かにつけて煙草を譲ってくれるので、最初はありがたく受け取っていたが最近では週に二箱という常軌を逸したペースになったので、さすがに意図を知っておきたいと二人で飲みながら世間話のように問えば、ストゼロを二缶空けてから「このままだと寿命的には俺お前のこと置いてかないといけないし、せっかく弟ができたのに、寂しいから」と怪しい呂律で呟いてから「法律には違反しないように頑張ったんだよそういうのお前嫌いだろうから」と兄は顔中をくしゃくしゃにして笑う。

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