宴もたけなわ、手首にくちなわ

 逃げ切れずに参加した忘年会で雰囲気と勢いに流されて参加した二次会、既に三々五々出来上がっては座席も各々気の合う連中が適当に固まって座るか飲むかしている最中、俺と二人して長机の端まで追いやられ薄い酔いの中で炭酸も抜け始めたサワーを啜りながら雑談をしていた先輩がお猪口に熱燗を注ぐその手元、袖口から覗く手首が赤々とした痣とも傷とも曖昧なものに覆われていることに気づき視線を向ければ「俺猫飼っててさ。爪とか立てるんだよね、そいつが」と先輩は泣きぼくろのある右目を細めるが、何でもないとでもいうようにひらひらと振られる指先と明らかに指らしき痕の巻き付く手首から俺は目が離せずにいる。

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