逃げ口、捌け口、庇い口

 兄さん、最近変なもん買ってくるんですよ。『持ち主が皆不幸になる人形』とか『部屋に飾ったら身内がばたばた死んだ掛け軸』とか、いわゆる呪物みたいなやつ。何でそんなもん買うんだって聞いたら「持ってたら不幸になるっていうなら、不幸になったらそいつのせいだろ」って。

 言いたいこと、分かるんですよ。要は親父が死んだのも母さんが友人知人親戚から金借りまくって失踪したのも兄さんが家出しようとした俺をぼこぼこにして右膝を割ったのも、全部その呪いの物品のせいにできるってことですよね。

 俺は、どっちでもいいんですよ。理由がなんだろうが、俺の膝駄目にしたのは兄さんですし、そこは変わりませんから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る