指先に刻まれる
叔父は昔から職業も住所も誕生日も細かなことは何も教えてくれないのに、必ず月に一度は家を訪れては父と何事かを話していたり襖の閉め切られた仏間で一日中何かしているのだけども詳細は教えてもらえず、それでも手土産にちょっといい菓子を持ってくるのと深夜の台所で鉢合わせたときには父に内緒でコーヒーを淹れてくれてささやかな雑談に付き合ってくれるので、決して嫌いではないのだけども、叔父が来た夜には決まって彼の首を絞める夢を見てしまうのと、指が生白い喉元に食い込む感触や掌に伝わる攣れた気管の震えを楽しんでいる自分に薄々気づいてからも、俺は毎月の叔父の訪れを心待ちにしてしまっている。
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