■件の不在着信

 大学の頃の話です。

 結構仲の良い先輩で、その人すげえボロいアパート住んでて部屋も風呂も台所も何もかも狭かったんですけど、その狭い台所に普段使ってんのとは別に電源入ってない冷蔵庫が置いてあって、家飲みしたときに捨てたらどうですって言ったら「扉が開くと電話掛かってくるんだよ」って答えられて、どこからって聞いたら近くのコンビニだって言うもんで、いよいよ意味分かんなくて黙ってたら「そのコンビニ、俺の弟が店長刺したところなんだよね」って、先輩が唇に指当てて内緒なみたいに笑ってたときは──あれですね、困りました。嘘でも本当でも嫌でしょう、そういうの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る